更年期・プレ更年期・アフター更年期世代女性の今日と未来の健康を考えるWebメディア「カンテラ」

西岡先生、わたしたちの更年期のことお話ししませんか? ❶

40代のわたしたちのからだ、現在地。もしかして更年期に入ってる?

はじめまして。Webメディア「カンテラ」主宰の手塚美幸です。2021年の春から初夏、この「カンテラ」を立ち上げようと準備を進めてきた中で、ここ数年仕事を通じてかかわってきた女性の健康について、改めて自分の問題として考えることが増えました。

46歳。
普段は意識することもなく動かし、当然のように存在してきた私のからだ。
これまではできていた無理が少しずつ効かなくなり、
ちょっとしたことで疲れを感じ、回復までに時間がかかる。
月ごとのPMSが重く、長くなってきたような気がする。

更年期のことを「いつかに備えて知っておきたい」から、「今知りたい」になりつつある自分を感じます。
これまで、女性のからだ、そしてライフプランのことをずっと話し合ってきた防衛医科大学校母性看護学教授・西岡笑子先生も最近心身の変化を感じているそうです。
「カンテラ」のスタートにあたり、西岡先生、そしてライターの真貝友香さんと私たち自身のからだと更年期への思いについておしゃべりしてみることにしました。
今回は第1回目として、「私たちのからだの現在地」をテーマにしています。

親しいお友達と会話しているような気持ちで、読んでみてください。


手塚

西岡先生のご専門はもともと女性の健康知識啓発なんですよね。

西岡教授
(以下敬称略)

そうですね、女性の生涯にわたる健康を若い世代から高齢の方まで、女性全体に広く知ってもらいたいという思いで、啓発の手法や、現在国内で行われている活動の情報を収集し、研究をしてきました。
その中で、私自身も40代のちょうど真ん中に差し掛かったところ。自分の世代が上がってきたということもあって、ここ最近「更年期」の話を身近で聞くことも多くなってきましたね。

手塚

西岡先生、同僚の先生も同年代が多いですか?

西岡

そうですね、少し年上の方が多いかな?だから、「最近調子が出なくて」と相談されて、婦人科クリニックとのつながりがある私が「早く診察受けた方がいいですよ」なんて予約を取ったりしてます。

真貝

私も今年40代に突入して、月経痛などの不調でふだんの生活に差し支えることも出てきました。婦人科にこまめに通うようになって、漢方を出されて飲んでます。1ヵ月以上飲み続けて、なんとなく効果が実感できるようになったかな?という感じです。

手塚

日本の平均的な閉経年齢は50.5歳って言われてますよね。でも、本格的な更年期に入る前から、真貝さんのように「なんとなく不調」を感じたり、身体の変化を実感する人も結構いるんじゃないかと思うんですが。

西岡

月経周期が少しずつ短くなってきて、28日ごとに来ていたのが26日になって25日になって……というのは典型的なものですね。私自身も月経期間の短縮は、3年位前から始まっていますので、少しずつ更年期には差し掛かっているんだと思います。

手塚

それ、PMSも短い周期でやってくるということですから、結構負担ですよね。というか、20代や30代前半にはほとんど感じなかった月経痛を感じたり、PMSで気分の波を感じやすくなったような気がします。最初は体力が落ちて不調に敏感になったのか、一時的なものかと思ってたんですけど、不調が割と定着してきました。

真貝

過多月経(※月経時の経血量が多いこと)だと、周期が短くなると貧血も進みますよね。

西岡

そうそう。そういった不調でまだ30代でも「もしかして、私更年期かも?」と思う人は結構いるんですよね。断片的な情報が手に入りやすい時代になったので、早発閉経(※40歳以前に閉経を迎えること)というものがあることなども皆さんご存じだから。
でも、更年期症状に似た症状が出る病気ってたくさんあるんです。それは病院で検査を受けない限りはわからないし、本当に早発閉経だった場合でも治療が必要なケースもあります。
そういう方には、早めにクリニックで相談してみてほしいんですよね。

手塚

今、日本の30代40代の女性って毎日忙しいから、自分のことは後回しにしがちですもんね。

西岡

本当にそうですね。
私、以前は同僚から「ブルドーザーのように仕事をする」と言われていましたが、最近は体力、気力どちらも低下を感じています。同じ年齢の夫には、「俺たちも歳をとっているのだから、何でも今まで通りにやろうとしない方がいい」とか、「無理のきかない年齢に差し掛かっている」などとたびたび言われてしまってます。
子どもは2人いて、下の子どもが今春大学生となり、ついに2人とも自宅を出てしまいましたので、早くも老夫婦のような生活となってしまいました。それで3月頃から空の巣症候群になるのでは、と少し心配していたんですが、ありがたいことに、仕事が立て込んでいてくれたお陰で今のところ大丈夫そうです。
つまり、忙しさは以前と変わらないまま、なんとなく疲れがたまった自分に鞭打っている部分はありますね。

真貝

さまざまなライフスタイルの女性がいるとは思いますが、自分のことを優先できないぐらい忙しいというのは、共通した問題じゃないでしょうか。

西岡

更年期に隠れた病気はそこが大変なんですね。「更年期は病気じゃないから」ってクリニック受診を避けているうちに、病気の早期発見早期治療のチャンスを逃してしまうのは残念ですね。
それにそもそも、病気じゃなくても更年期の症状は治療すれば軽減したり、中には自覚しなくてもいい程度になる人もたくさんいるんです。

手塚

病気じゃないから我慢するしかないという更年期への見方が、もうちょっと柔らかくなるといいですよね。病気じゃなくたって治療していいし、治療が必要な人もたくさんいると。

西岡

はい。つらかったら、解決できる方法が今はあるんですから。必要だったらどんどん利用してほしい。私がクリニックに紹介した同僚たちも治療を受けて、元気がなかったのがウソのように、以前のペースで働いていますよ。

手塚 美幸(Webメディア「カンテラ」主宰)

ライター、プランナーとして活動し、女性の健康・キャリアをテーマとするWebメディア運営、事業企画にかかわる。国家資格キャリアコンサルタント。一般社団法人 女性の健康とメノポーズ協会認定資格「女性の健康経営アドバイザー」保持。さんぎょうい株式会社働く女性の健康とキャリア事業室フェロー。42歳での最後の出産を経て、1男2女の母。

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真貝 友香(ライター)

ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。
妊娠出産を機にフリーライターとして活動。子育て、教育、キャリア、テクノロジー、フェムテックなど幅広く取材・執筆中。

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西岡 笑子(記事医療監修)

防衛医科大学校医学教育部看護学科母性看護学講座教授(2022年3月時点)。看護師の育成を行い、専門的見地から女性自身が自分の体を知るための啓発活動に取り組む。2児の母でもある。

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