からだの不調を感じた時には、まずは病気の有無を確認することが重要です。
クリニックを受診して更年期症状と似た不調があらわれる病気がないか調べたあと、更年期症状(障害)治療を受けることになります。
一般的には、更年期治療はほかの病気と同じように標準治療をベースとした治療を受けて症状の改善を行っていきます。
標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点から、現在治療効果の可能性があることが多くの専門家によって検証され、用いられることが推奨される治療を指します。
更年期症状の「標準治療」には下記の6種類があります。
……急激な女性ホルモン分泌量の落ち込みをカバーするホルモン療法。
経口(飲み薬)、経皮(貼り薬、塗り薬)等の補充方法があります。
2.漢方
……当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)等を症状や体質によって処方されます。
3.エクオール
……一般にはサプリメントとして販売されています。産婦人科診療ガイドラインには、「ホットフラッシュに対して、大豆イソフラボンなどを用いる」と記載があります。
4.抗精神薬(SSRI)
……気分の落ち込みや不安などの症状には向精神薬や睡眠薬が処方されることがあります。
5.心理療法
……更年期症状の発現要因としてストレス過多も挙げられるため、カウンセリングによって毎日の生活や仕事上のストレスを解消する方法も用いられます。
6.生活指導
……不規則な生活リズムや食習慣によって更年期症状が重くなったり生活習慣病リスクが高まっている場合には、生活指導を行って症状改善を目指すこともあります。
上記の治療選択肢は、健康状態等によってはリスクが高く使えない場合もあります。また、その治療法がご自身に合っているかは、医師や看護師などと相談しながら考えることも可能です。
更年期症状のようなつらさを感じたら、我慢してやり過ごさずに一度受診してみましょう。
今回ご紹介した更年期症状の「標準治療」については、今後の記事でひとつずつ解説していきます。
※参考文献:日本女性医学学会編「女性医学ハンドブック更年期医療編 2019年度版」金原出版株式会社