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2021.08.06更年期とは真貝 友香

更年期と婦人科クリニック①これってもしかして更年期? 治療の選択肢をレディースクリニックで聞いてきました

ホットフラッシュや倦怠感、動悸や頭痛など、更年期症状の顕れ方には個人差があります。
現状、治療方法もさまざまな種類がありますが、それぞれ効果や副作用も異なる上に、「最近何だか調子が悪いけど、そもそもこれって更年期症状なの?」と確信が持てないこともあるかもしれません。

今回、カンテラチームは藤沢駅近くにある「藤沢 女性のクリニック もんま」にお邪魔し、更年期の症状を改善する治療方法にはどのような選択肢があるか、お話を伺ってきました。

院長 門間 美佳先生
門間 美佳先生


お話ししてくれたのは院長の門間美佳先生。とっても気さく、かつ温かなお人柄が伝わる語り口でした!

門間先生

更年期症状の治療方法については、主治医とよく相談する必要があります。どんな治療方法を提供しているかもクリニックによって異なりますが、私のクリニックで提供している主な治療はこの3つです。

  1. ホルモン補充療法(HRT)
  2. 漢方
  3. エクオール

HRTってどんな治療?

エストロゲンと黄体ホルモンを補充する治療法です。
更年期を迎え、エストロゲンの分泌が低下し、不足したエストロゲンを薬で補います。
更年期症状の治療の中では一番効果的と言われるHRT。骨粗鬆症、血管の老化、脳の萎縮といった閉経による体の老化を抑える効果があり、40代で閉経した人には特にオススメです。
周期性投与法(周期的な出血を起こす)と毎日投薬する連続投与法(出血を起こさない、閉経から数年経っている人向け)の2パターンがあります。
子宮がある方は黄体ホルモンを併用し、子宮を摘出した人はエストロゲン単独投与法を行うことになります。

副作用はある?いつまで続けられるの?

5年以上エストロゲン、黄体ホルモン併用療法を継続すると乳癌のリスクがわずかに増えると言われています。
しかしその数は1万人に30人が1万人に38人になる程度の確率でアルコールや煙草、その他生活習慣などによるリスクと同等かそれ以下ということが分かっています。
また「やめどき」について悩む人も少なくないHRT。明確に何歳までできるという基準はなく、半量にするなど調節しながら治療を続けることも可能です。

更年期に使える漢方薬にはどんなものがある?

困っている症状、改善したい症状やその人の体格等に応じたものを選べるのが漢方薬。
主な更年期症状に合う漢方薬には以下のようなものがあります。

  • イライラに困っている人→抑肝散、加味逍遥散
  • 不眠→酸棗仁湯
  • 冷えのぼせ→桂枝茯苓丸
  • 肩こり頭痛→葛根湯
  • 疲労感→補中益気湯
  • 低気圧などから来る頭痛→五苓散
  • 気分の落ち込み→半夏厚朴湯
  • 便秘、むくみ、肥満→防風通聖散

いずれも個々の症状というより体質によって合う合わないがあるので、問診を行ってからの処方となります。

エクオールも対策のひとつ

大豆から作られた女性ホルモンに類似した栄養補助食品(サプリ)で、手指の痛み等がある方にご紹介しています。
更年期対策の中ではすぐに改善を期待するものではありませんが、自然な方法を好む人や、40代で月経はあるけれど体調不良に悩む人にはお勧めです。

この他に、プラセンタ注射(45歳から59歳は症状に応じて保険適応)等の選択肢もあります。


門間先生のクリニックで受けられる更年期症状の治療は以上の3つ。ちなみに1から3は同時進行してもよいとのことです。

「更年期症状の治療としてHRTと漢方を併用するということも可能です。
HRTについて、ホルモンという言葉を聞くと恐れてしまうところもあるかもしれませんが、ホルモン補充といっても女性ホルモン全盛期の20代と同じ量を足すわけでは決してありません。急激な女性ホルモン量の落ち込みペースをちょっとゆるやかにするお手伝いと思っていただけるといいかもしれないですね」(門間先生)

まだ、更年期には差し掛かっていないけれど、今のうちに生活の中で心がけておくとよいことはあるのでしょうか。

門間先生

食事内容を見直したり、運動や睡眠など生活習慣を整えておくことが大事です。

更年期症状と直接の関連はないものの、60代をこえても乳がんにかかる可能性はあります。
定期健診を心がけましょう。マンモグラフィーとエコー検診を交互に受けるのが理想的ですね。

また、更年期付近から女性ホルモン(エストロゲン)の保護がなくなることで高まっていくのが「脂質異常症」「動脈硬化」「糖尿病」「高血圧」など生活習慣病へのリスク。これまでと同じ食事を続けていると太りやすくなるため、脂質を減らしていくことも重要です。合わせて軽い運動も心がけるとよいですね。

■カンテラ編集部から
思春期からシニアまで、婦人科クリニックとして女性の長い人生全体の健康を守るという考え方の門間先生。気軽に婦人科検診などに来てほしいと熱心に話されていたのが印象的でした。「更年期が終わっても油断は禁物。乳がん検診、子宮がん検診を受けていきましょう」とのことです!

待合室
待合室の本棚には、門間先生がおすすめする性や健康に関する書籍がずらり。


今回取材したのはコチラ 

「藤沢 女性のクリニック もんま」

〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢530-10 F.S.Cビル4F
最寄駅 JR東海道線・小田急線「藤沢駅」徒歩4分
TEL 0466-55-4976
https://momma.clinic/

■クリニックよりお願い
新患や初診のご予約が取りづらくなっております。
インターネットでの予約をお願いいたします。
(電話での初診受付は行っておりません)

※記事内容は2021年7月30日現在の情報です。

真貝 友香(ライター)

ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。
妊娠出産を機にフリーライターとして活動。子育て、教育、キャリア、テクノロジー、フェムテックなど幅広く取材・執筆中。

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