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2021.10.18更年期とは真貝 友香

更年期と婦人科クリニック②更年期の前にできることはある?ウェルエイジングケアについて聞いてきました

更年期と婦人科クリニック②

ホットフラッシュや倦怠感、動悸や頭痛など、更年期症状の顕れ方には個人差があります。
現状、治療方法もさまざまな種類がありますが、それぞれ効果や副作用も異なる上に、「最近何だか調子が悪いけど、そもそもこれって更年期症状なの?」と確信が持てないこともあるかもしれません。

クリニック取材第2回は日本橋にあるフィーカレディースクリニックにお邪魔しました。
院長を務める佐野麻利子先生に、クリニックの特徴や更年期症状への治療や、明日からすぐにできる対策について、お話をうかがいました。

佐野 麻利子先生

江戸時代より続く産科婦人科舘出張(さんかふじんかたてでばり) 佐藤病院を中心とする佐藤病院グループが、プレコンセプションケア(将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うためのケア)や働く女性の健康支援を目指し、2018年11月に開設したフィーカレディースクリニック。オフィスビル内にあり、周囲も高層ビルが立ち並ぶまさに都心という環境ですが、クリニック内はとても穏やかで落ち着く雰囲気。
クリニックの由来となっている「fika」はコーヒーを飲んだり、お菓子を食べたり、おしゃべりしながら、からだをやすめるスウェーデンなど北欧諸国の習慣。

佐野先生

「産婦人科というとお産というイメージがつきものですが、プレコンセプションケアのように妊娠前から自分自身の健康や生活に向き合うことや更年期に備える重要性も徐々に浸透してきています。お茶を飲みに行くように、体を休めるために気軽に通えるクリニックにしたいなと思っています」

脂質異常症、骨粗鬆症…閉経に伴うトラブルを最小限に留めるには?

日本橋という土地柄、患者さんは近隣で働く女性が多いのも特徴。昼休診を設けていないため、お昼休みを利用して駆けつける人もいるようです。
更年期症状に対する治療は、ホルモン補充療法(HRT)、漢方処方、サプリメント処方、エクオール処方、プラセンタ注射などの治療を一通り取り入れています。あわせてフィーカレディースクリニックで推奨しているのがウェルエイジングケア。
生活習慣を改善することで、乗り切れる更年期症状もある。そのために食生活等を見直そうというポリシーに基づいて、管理栄養士による生活習慣指導を実施しています。

佐野先生

「閉経に伴う卵巣機能の低下はどうしても避けられないもの。エストロゲンの減少に伴い、それまで代謝が活性化されていたコレステロール値が上がって脂質異常症の原因となります。また骨粗鬆症は誰にも起こり得るんです。早い人だと40代中盤から予兆がありますし、転倒による寝たきりや認知症などを引き起こす恐れもあります。対策は急に始めるより、長い目で見てのメンテナンスを意識するという意味でも早めに気を付けてみてほしいです」

骨を丈夫に=カルシウムという単純なイメージではなく、骨の元となるたんぱく質をしっかり摂取することが重要で、代謝を上げるには運動も大切なのだとか。骨の代謝といえば不可欠なのがビタミンDの摂取です。

「ビタミンDはサプリの処方も行っていますが、見落としがちなのが日光に当たって体の中で作れること。
体内時計を整える、そして食べたものを消化、吸収する上でも、外に出てしっかり日光を浴びることを意識してみてください」

平均寿命が伸びる=閉経後の寿命が長くなる。エストロゲンがない状態と上手に付き合う

一般婦人科診察にくわえて、アスリートチェックも行っているフィーカレディースクリニック。月経やPMSの影響でパフォーマンス低下に悩む女性アスリートに対しても生活習慣や食生活の指導を行っています。
過酷なトレーニングや短期間で体重を落とそうと無理なダイエットを行うことでエネルギー不足に陥り、無月経や骨粗鬆症からの疲労骨折など、アスリートが直面する問題は実に深刻です。

佐野先生

「一定の栄養素が不足すると確実にメンタルにも支障をきたしますし、アスリートでなくても間違ったダイエットを続けていれば骨粗鬆症や月経が止まるなどのリスクは高まります。
女性の多くが鉄欠乏性貧血ですから、鉄のサプリは毎日摂取してもよいですね。
サプリも千差万別で、コーティングの成分から内容量までさまざまなので、市販のものより一度受診してから処方を受けるのがおすすめです」

月経があれば、大なり小なり不調やトラブルはつきもの。行きつけのレディースクリニックがあれば、そんなトラブルも未然に防げるかもしれません。
クリニックでは「プレ更年期との付き合い方」と称したオンラインセミナーを定期的に開催しているほか、乳腺外来(乳がん検診、乳がん検診+子宮がん検診も受診可能。予約制)の曜日を設けるなど、予防に向けた取り組みを積極的に実施しています。

佐野先生

「平均寿命が伸びるということは、つまり閉経後の寿命が長くなるということ。現在の女性の平均寿命を考えると閉経後約40年近くは生きることになるわけです。エストロゲンに助けられていたものがなくなる弊害を考えると後ろ向きになってしまいそうですが、上手に付き合っていけるとよいですね」


■カンテラ編集部より
ほぼ健康なうちからこまめにクリニックに通うというのは、ちょっと気持ちのハードルを感じてしまう方も多いのでは?忙しく働いていると受診の時間をつくるのも一苦労ですよね。オフィス街に位置し、ほっとできる木材を基調としたインテリアのフィーカレディースクリニックは、そんな大変さをできるだけ取り除いてくれる場所でした。

仕事の合間を縫って訪れる女性も多いとか。

今回取材したのはコチラ

「フィーカレディースクリニック」

〒103-6110 東京都中央区日本橋 2-5-1
日本橋髙島屋三井ビルディング 10F
TEL 03-6910-3977
https://fika-lc.jp/

※記事内容は2021年10月12日現在の情報です。

真貝 友香(ライター)

ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。
妊娠出産を機にフリーライターとして活動。子育て、教育、キャリア、テクノロジー、フェムテックなど幅広く取材・執筆中。

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