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西岡先生、わたしたちの更年期のことお話ししませんか?❷

西岡先生、わたしたちの更年期のことお話ししませんか?2

西岡先生と一緒に今のわたしたちの体調についておしゃべりした前回に続き、「なぜ更年期に興味を持ったのか?」「たくさんの人に更年期について伝えたいのはどんなメッセージなのか?」について西岡先生とライターの真貝さん、そして私手塚の3人でお話しします。
更年期って恥ずかしいことだからこっそり、しょうがなく、なんとなくやり過ごすものだと思っていませんか?

⇒前回の記事はこちら


手塚:西岡先生が最初に更年期を身近に感じたのって、いつ頃ですか?

西岡教授(以下敬称略):それが、私は子どもの頃から更年期に接していたといえると思います。
個人的な話になりますが、私の母は5人兄妹の末っ子で、長兄とは16歳の年齢差があったんです。祖母は母を産んだのが30代後半だったんですね。ですから、母が中学生になった頃には更年期障害がひどくて起き上がれないことも度々だったようです。朝ごはんの支度などの家事は、祖父がしてくれていた、と母から聞かされました。

母は私が幼いころからこのエピソードを何度か話してくれていたので、将来の道として看護職を選ぶずっと前から、「更年期障害」という言葉を知っていたんですね。

真貝:そうなんですか!まだまだ普通の子どもは更年期について知る機会が少ない年代ですよね。

西岡:そうですね。日常の中で更年期障害については存在を知っていたという環境でしたね。
その後、私が看護学生になって母が更年期世代にさしかかると、「自分の母親の更年期障害がひどかったから、自分も大変になるかも……」とつぶやいていました。少し構えていたのかもしれません。

その分情報収集には積極的だったようで、しばらくするとどこからか「母親の更年期がひどくても、必ずしも娘の症状もひどいとは限らないらしい」という情報を入手してきました。それで少し安心できたおかげもあったんでしょうね、幸いにも母の「更年期がひどいかもしれない」という不安は杞憂に終わりました。
振り返って母は「私の、あまりくよくよしない、あっけらかんとした性格が良かったのかも」と自己評価(アセスメント)していました。

手塚:お母様、かなり若い頃から心配されていたんですね。

西岡:はい。更年期のひどい症状である更年期障害は身体的要因、社会的要因(外的なストレス)、心理的要因(自身の不安や悩みなど)が複雑に絡み合って発症するとされています。娘の私からみて、母には祖母から伝わる身体的要因の可能性はあったかもしれませんが、社会的、心理的要因はなかったように思います。

真貝:その話は、自分に更年期症状が出ないか心配しているたくさんの女性に伝えたいですね。

西岡:まさにそうです。私もしばらく祖母のエピソードは忘れていたのですが、教員になって改めて更年期について学習していた時に、ふと思い出しました。
そして、「祖母は未治療の更年期障害か、もしくは更年期障害ではなく、更年期に発症したうつ病だったのではないか?」と思うようになりました。
祖母は40年以上前に他界しているのでもう確かめる術はないのですが、母の話によると、「更年期障害がひどく、起き上がれないことも度々で家事もままならない」という状態だったことから日常生活に支障をきたしていた状態だったと思うのです。
治療の対象だったにも関わらず、治療を受けないまま過ごしていたということですね。

更年期障害の診断には、問診、症状評価票、血液検査の他に、甲状腺疾患やうつ病などの器質的疾患の可能性をきちんと検討した上で除外しなければなりません。

ただ、40年以上前の話ですから、当時医療を受けづらい島に住んでいたという状況によって寝込むしかなかったのですが、医療を受けやすくなった現代でも、結局祖母と同じようになった時「どうせ治療できない更年期だから」という思い込みや自己判断で、受診することができない更年期世代の女性も多いのではないか?と思います。

最近ようやく「生理の貧困」や「月経の話」をオープンにしましょう、という世の中の流れになってきましたが、まだ更年期はみんなが堂々と話せるという段階に来ていないのではないでしょうか。そんな状況を変えて、不調があれば気軽にクリニックを受診してもらうためにも、更年期について、もっと知っていただきたいと考えています。

手塚:それには、更年期世代の女性だけじゃなく、もっと広く更年期について知ってもらう必要がありますよね。更年期にさしかかった当事者だけが「恥ずかしいことじゃない」と言っていても伝わりにくいですから。

西岡:恥ずかしいという気持ちが、不要な我慢につながったり、婦人科受診を遠ざけたりしてしまうので、女性が健康に過ごすチャンスを失わせてしまっていると思います。

真貝:更年期を心地よく過ごすためには、西岡先生のように、みんなが子どもの頃から自分のからだが将来どうなるか、もう少ししっかり知っているのがいいのかもしれませんね。

手塚:そういう恥ずかしさが婦人科の病気などの早期発見も難しくさせてしまいますよね。残念でもったいないケースをなくしていくためにも、更年期を「黙って立ち止まってさまざまなつらさを我慢する期間」ではなく、更年期は自分の心とからだにポジティブに働きかける期間と考えていきたいですね!

西岡:そうそう。まさにそれがメノ活ですね。

真貝:メノ活と銘打つことではりきれる人はアクティブに過ごせばいいし、がんばりすぎている人は少し生活のペースをゆるめることを自分に許してあげてほしい。

西岡:はい。メノ活」は、自分に合ったスタイルを見つけるのが一番だと思いますよ。

手塚:気持ちはポジティブ、疲れすぎないようにということですね。

西岡:更年期自体はなにしろ約10年の長いお付き合いになりますから!

★「メノ活」についての詳しいご説明はこちら

手塚 美幸(Webメディア「カンテラ」主宰)

ライター、プランナーとして活動し、女性の健康・キャリアをテーマとするWebメディア運営、事業企画にかかわる。国家資格キャリアコンサルタント。一般社団法人 女性の健康とメノポーズ協会認定資格「女性の健康経営アドバイザー」保持。さんぎょうい株式会社働く女性の健康とキャリア事業室フェロー。42歳での最後の出産を経て、1男2女の母。

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真貝 友香(ライター)

ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。
妊娠出産を機にフリーライターとして活動。子育て、教育、キャリア、テクノロジー、フェムテックなど幅広く取材・執筆中。

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西岡 笑子(記事医療監修)

防衛医科大学校医学教育部看護学科母性看護学講座教授(2022年3月時点)。看護師の育成を行い、専門的見地から女性自身が自分の体を知るための啓発活動に取り組む。2児の母でもある。

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