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徒歩で“おじいちゃんにも抜かされる”ゾンビ体の原因とは? となりの更年期カタログ vol.2(後編) Fさん42歳の場合

前回の記事でお聞きした中で、ホルモン剤(レルミナGnRhアンタゴニスト製剤)を服用し、生理を止めたことで子宮筋腫がサイズダウンしたFさん。しかし実際、長年身体に感じていた不調は、子宮筋腫が原因となって引き起こされていたある症状でした。私たちがつい軽く見てしまうその症状は、予想以上に身体のさまざまな部位に弊害を起こしているようです。

■前編の記事はこちら

医師に「輸血レベル」といわれる極度の貧血。

──長年、不調に悩まされていたといいますが、どんな症状だったのですか?
んー、ゾンビみたいな感じです(笑)。
こちらは全速力で歩いているつもりなのに、高齢のおじいちゃんにも抜かされるくらい歩くのが遅くて(笑)、息がハアハアとあがってしまう。肩こりも何かにとりつかれているんじゃないかと思うほどひどくて、頭痛と倦怠感、爪の変形などもありました。ずっと何かがおかしいと感じていたけど、慣れて放置していたんですよね。


──ゾンビ(笑)。原因は何だったのですか?
貧血です。
健診で受けた血液検査の結果、ヘモグロビン値が4g/dLで(※12g/dL以上が好ましい)、検査の翌日、健診機関からあわてて電話がかかってきて早急に再検査を勧められました。


──緊急度が高い状態ですね。
再検査で訪ねた婦人科の先生には「輸血レベル。もし事故にでもあったら血が足りなくなって危ないから出歩かないで」なんて言われるし(笑)、貧血が進むと心不全にもなるらしいですね。医療関係者(臨床工学士)の弟には「(その数値は)低すぎる」 と心配されました。


──相当ひどかったのですね。
みなさん、貧血のイメージは「ちょっとクラクラしちゃう……はあ」というものだと思うのですが、違うんですよね。先ほどの不調に加えて、口が乾いてほっぺの中がカサカサになったり、めまいや動悸、倦怠感も常にあります。

※編集部脚注:貧血の症状 めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、蒼白(顔が青白い)、倦怠感、疲れやすい、頭痛、眠気、集中力の低下、耳鳴り、口角炎、口内炎、味覚の異常、爪がもろくなるなど。


──まるで重度の病気のように思えますが、慣れてしまうもの?
中学のころ、陸上をしていてスポーツ貧血でした。生理は当時から重かったので、生理中は決まって「顔色悪いけど大丈夫?」とずっと言われてきました。私は昔から貧血の状態で生活を続けてきたので、それが身体にとって当たり前になってしまったようですね。


──今回、極度の貧血が発覚したのは健診でしたが、血液検査は定期的に受けていた?
過去の健診の記録を見たら、平成29(2017)年でヘモグロビン値が9.4g/dL、平成30(2018)年で8.3g/dL、令和元(2019)年には6g/dLになっていました。


──一定の数値で減っていますね。
令和2(2020)年は6.9g/dLで、この数値も相当悪かったのに、危機感がなかったのか開業で忙しかったのか放置してしまって……。


──2021年に4g/dLにまで減って……。
ゾンビに(笑)。

鉄剤の注射で、走れるまでに回復。

──貧血の治療はどのように進めたのですか?
週3回、婦人科に通って鉄剤の注射を打ちました。合わせて鉄剤も服用し、2ヶ月間くらい続けるとヘモグロビン値が11g/dL 1まで回復しました。

──長年の貧血が2ヶ月で回復(笑)!
ほんと、今までなんだったの!? というくらい変わりました。もうおじいちゃんにも抜かされないし(笑)、走れるようになりました。Nintendo Switchの『リングフィットアドベンチャー』で息切れして死にそうになっていたのですが、それもできます!

──その後も鉄剤を打ったり、飲んだりしている?
いや、食事で鉄分を補っていくようにしています。鉄分の入ったヨーグルトや牛乳、小松菜、ひじきなどを意識的に摂るようにしているかな。お茶やコーヒーは大好きだけど、タンニンは鉄分の吸収を妨げるというので、1日2杯までにしています。

※編集部脚注 通常の1~2杯程度ではあまり神経質になる必要はないようです。気になる場合は、鉄剤服用の前後30分はお茶やコーヒーを避けると良いでしょう。番茶、ほうじ茶、玄米茶、ウーロン茶にはタンニンが少ないといわれています。


──前回のお話しで、以前から漢方薬局に通ってらっしゃいましたが、原因は貧血だったのでしょうか?
会社に勤めていた頃、電車の中で過呼吸のようにハアハアと息が切れる症状が出ていて、当時はストレスから自律神経に問題があると思っていましたが、貧血のせいだったのでしょうね(笑)。原因がちがっていたのかも……。

ひょっとして貧血かも? 不調に慣れる前に検査を。

──読者に伝えたいことはありますか?
貧血になると、クマが消えずに顔のくすみがひどくなって、朝起きるのが辛くなります。肌や髪もカサつく。だから、もしそういう不調を感じている方がいたら、病院で医師に相談することをお勧めします。血液検査をしてもらえるかもしれません。


──歳やホルモンのせいじゃなくて、貧血が原因かもしれないですね。
そう、貧血が改善されるだけで、身体が総合的に元気になりますから。そして定期的に健診 を受けて、結果を放置しないこと。 私は健診を受けて結果を見たはずなのに放置してしまい、ヘモグロビン値が危険な状態にまで下がっていたので……(笑)。健診 と行動は大切です!


※Nintendo Switchは任天堂株式会社の商標です。

チーム完熟・マンゴー(ライター)

「チーム完熟」の下っぱ特攻隊長。厄年以上、更年期未満の1979年生まれ。フリーランスコピーライター / 唎酒師 / 2児の母 / 2021年5月に離婚。2020年末あたりから謎のめまいが頻発し、その原因を突き止めるべく病院をめぐる。2021年現在のストレス点数は685点(※300点以上で翌年に健康障害が生じる危険性80% 出典:夏目誠・大阪樟蔭女子大学教授提供より)。
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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