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「老いではなく成長だ」と脳をだませる?老ける見た目にショックを受けない方法。後編 マンゴーVol.11

半跏思惟像になる完熟マンゴーさん

チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!


白髪上等となったワケ

「老けていく自分がイヤなのではなく、老けていく自分に嫌悪をいだくことがイヤなのだ……!」大事MANブラザーズバンドのヒット曲「それが大事」のような境地に至ったマンゴーは、前編中編と自分なりの思考錯誤をし、ロールモデルを小野小町センパイに設定。「若さは消えても知性が残れば魅力的」というところまで来ました……あれから約2ヵ月。

私はいま、根本4センチの白髪をそのままにし、目が乾くためコンタクトから眼鏡に戻ってきましたが、この姿を見てもまったく嫌悪感を抱きません。
むしろ、「早く、白髪になぁれ♪」とけっこう気に入っています。

なぜか。

それは髪の毛を「黒と白と銀」の3色混合にして「多様性の時代を理解しているクリエイターっぽい外見」にしようという浅はかな目論見もありますが、白髪頭を
“老い”ではなく“成長”のアイコンであると意識をすりかえる
ことに(一時的でも)成功しているようなのです。

どうしてそうなったのか。
無理してないのか、マンゴー?

大きな理由は2つあるので、今回はそのあたりを紐解いてまいります。

さて前回、マンゴーに眠る優先順位が、「おもしろい知的な人>若見えの人」と掘り起こされました。そして優先順位の高い方を埋められれば、または埋める行為をしていれば、気持ちが満たされて次点以下がうやむやになるのでは?という仮定(期待)をしましたよね。

その仮定にしたがって知性を身に着けるには学習行為だとし、NHKのラジオ英会話『英会話タイムトライアル』と放送大学で開設されている心理学の講座を再び学び始めました。「再び」というところに、過去の挫折が臭ってきますが、まずは立ち上がれたことを喜んでおきましょう。グッジョブ。

そしてマンゴーはこのように、ゴールと手段がなんとなくあり、それを達成するために階段を上っているという状況にいると、心地よいことに気が付きました。

それは、自分では制御できないことだらけのアラフォーの日常において、「自分がやれば」「理解できる」という行動と報酬がシンプルに結ばれた学習行為の“うまみ”を味わい、小さくとも成功体験を積み重ねているからでしょう。

突然ぶりかえす身体の不調しかり、学校に行きたくないと叫ぶ子どもしかり、なかなか進まない仕事しかり、私じゃどうしようもないことから一時的にでも開放される喜びもついてくる。日常的な学習は、お得な自己再生プログラムといってもいいでしょう。


そして、学習行為は積み重ねるほど、視野が広がり自身の成長を感じることができますよね。

だから
学習を続けている間、マンゴーは老いているのではなく成長をしているのだ。と感じることができたのです。
そして学習中の変化は、白髪も含めてすべて成長である。
と決めてしまった。我ながら単純で乱暴ですが、これで納得してしまったというわけです。

死生観から逆算した諦めと受容

「学習中は成長中だ!」と納得してしまったマンゴー。
そうなると一生なにかを学び続ければ、一生成長中ということになります。しめしめ。

ではどんな後半生になりそうか……と思いを巡らせていると、なんとなく死生観が浮かび上がり、それがまた「私は老いているのではなく成長しているのだ」という意識を後押しすることになったのです。

人生100年時代といいますが、私は生きている間は自分で歩き、食べ、排せつができる状態でいるのが理想です。豪華な生活は必要ありませんが、ひもじい思いもしたくありません。できれば、おいしいものを食べて友達と笑い合って、最期まで少しでも仕事をしていられたら本望。となると、今から身体を鍛えて資産運用しておくとして……暫定寿命は85歳としましょうか。
逆算すると、残った時間はあと42.5年(今まで来た道!)です。

では、どんなおばあちゃんになっているのかといえば、
三つ子の魂百まで。

「好奇心がうずく方向へ試行錯誤を繰り返して、くだらないことを言ったり書いたりしている」姿が、揺らぐことなく浮かび上がってまいりました。

というのも、これまでの友人評、はたまた統計学ともいえるアユールヴェーダや四柱推命、東洋医学、スピリチュアル界隈からはじき出されるマンゴー評は、だいたい同じ。「火のようにエネルギッシュに進む、頭に血が上りやすい人」なのです。「鬼滅の刃占い」でも煉獄さんで、実際に自覚もございます。こうなると「うむ!」と肯定せざるを得ないではありませんか。

そしてどれだけ年を重ねようとも、この気質は生きているのでしょう、今風に言えば未来像を「受容」した、正直に書けば私は「諦め」たのであります。

しかし、もう変われないのであれば、「煉獄マンゴー」としてとことん心を燃やしていこうではないか! と腹も決まるというもの。このように自らのキャラクターを極めんとより性質を純化していく工程は、我が人生の旨みと苦みを学習するに等しいこと。つまり、学びの一つであるため成長であって老いではない、とこれまた納得してしまったというわけです。

で、知性ってなあに?

到達するであろうマンゴーばあちゃん像は、なんとなく固まりました。じゃあ、私のコラムでたびたび出ている知性とはいったいなんなのか。

マンゴーなりの回答は、「考え続ける力」と「自分なりの回答を持つこと」。自問し続ける力といってもいいでしょう。

古代ギリシャの哲学者たちが、あーでもない、こーでもないと討論することも、ネット情報を咀嚼して自分なりの解を出すことも広義で知性あるがゆえの知的な行為です。

でも、この不穏で分断的なご時世にピンとくる一語はないものか……と探しておりましたら、令和4年度東京大学大学院入学式総長式辞※1にて出会いました「ネガティブ・ケイパビリティ(Negative capability)」という概念です。

ネガティブ・ケイパビリティとは1800年代に生きたイギリスの詩人ジョン・キーツの手紙に見られる言葉※1 で、「性急に証明や理由を求めずに、不誠実さや不思議さ、懐疑のなかにいることができる能力(帚木蓬生氏の著書より※1 )」だとか。

マンゴーが一言でまとめるなら、
「自分のイライラやモヤモヤに喰われないようにする能力」です。
※3をスーパー超訳

ネガティブ・ケイパビリティとは、落ち着いてモノゴトに向き合う、宙ぶらりんの気持ち悪さに耐える、チャッチャと白黒つけたがらない、キレ散らかさない……などなど、マンゴーにとって血がでそうなほど耳が痛い概念です。耐えるの、苦手。私の感想も知性が低め。

でも、不穏で分断的で理不尽の多い生きづらい世の中には確かに合っている。いったん身を沈めて覚悟が決まるまで耐えること、と解釈してもいいでしょう。私も離婚に関しては2年ほどネガティブ・ケイパビリティを発揮して悶々とし続けていたときがありました(え、短い?)。離婚そのものより、結論に踏み切れないことがつらかった。

その間にも離婚していいものかと「自問し続けて」いたので、マンゴーらしさが加わりますが、この手の逡巡を優柔不断と卑下するのではなく、知的な能力ゆえだと認めたら、ちょっとは慰められるというものです。

生きづらさを抱える人が多いと言われる昨今、「私がモヤモヤを抱いていることも知的な能力」と思ってしまう、認知の変換を自分でやっちゃう。この客観的視点を磨くことも知的な行為のひとつだと思うのです。きっと頭脳プレイ全般が知的なんだわ。

こうして暴論といえども、マンゴーはいったん老け行く外見を受容することができました。たぶんシミやシワもオーライです。これからも独自の仮定と実践を朝令暮改で積み重ねていくことでしょう。そして、マンゴーばあちゃんになった暁には総論をしたためてみるのもオツでしょうね。


最後に。
同テーマの初回原稿『見た目をどこまで気にするか? 老ける自分にショックを受けない2つの方法。前編 マンゴーVol.9』を上記のチーム完熟先輩メンバーに読んでもらったところ、異口同音にこんなアドバイスをいただきました。


「そのうち慣れるよ」。

そ・れ・か・よっ!
まだまだ青いマンゴーでした。

※1令和4年度東京大学大学院入学式総長式辞

https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message2022_05.html

※2 氏は日本の精神科医であり小説家。
帚木蓬生著『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える能力』朝日新聞出版2017年

※3 原文は以下
“Achievement especially in Literature & which Shakespeare possessed so enormously—I mean Negative Capability, that is when man is capable of being in uncertainties, Mysteries, doubts, without any irritable reaching after fact & reason—Coleridge, for instance, would let go by a fine isolated verisimilitude caught from the Penetralium of mystery, from being incapable of remaining content with half knowledge. ”
Letter from John Keats to George and Thomas Keats, 22 December 1817.原文から引用


マンゴー
レベル:42.5
装備:白髪、黒髪、茶髪が混じったカオスヘアと分厚い眼鏡。
状態:真実より納得があればいい。
目標:衝動的に子どもたちを「おまえら」と呼ばない。

チーム完熟・マンゴー(ライター)

「チーム完熟」の下っぱ特攻隊長。厄年以上、更年期未満の1979年生まれ。フリーランスコピーライター / 唎酒師 / 2児の母 / 2021年5月に離婚。2020年末あたりから謎のめまいが頻発し、その原因を突き止めるべく病院をめぐる。2021年現在のストレス点数は685点(※300点以上で翌年に健康障害が生じる危険性80% 出典:夏目誠・大阪樟蔭女子大学教授提供より)。
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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