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12種のマシンエクササイズ初体験で得た悟りとは?「50歳のうぬぼれ鏡」vol.12

必死に水分補給をしようとする完熟ライチさん

チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!


この連載も12回目。つまり、ということは、何を隠そう、実は私51歳になっておりました!
看板に偽りありですが、タイトルの「50歳」はぼんやりと「この年代」くらいに思っていただければありがたいです。


無料体験の翌日、カーブスからの電話が鳴りました。
トレーナー「昨日はお越しいただきありがとうございます。その後、おからだの調子はいかがですか?痛みや動かしにくいところはありませんか?」
ライチ「あ、おかげさまで特に問題ありません」
この時はこう答えましたが、実はこの次の日に若干の筋肉痛が出ました。
そう、中高年の疲れはいつも遅れてやってくる。

「そうですか、良かったです!次回は○日の3時ですね」
次回の予約をさりげなく念押しするトレーナーさん。
「最初の3回はトレーナーがライチさんに付き添ってマシンの使い方を指導いたしますので、ご予約が必要ですが、それが終わりましたら予約なしで自由に来ていただけます」
「わかりました。当日よろしくお願いします」

3種類のマシンだけでも大変だったのに、フルとなると12種類。
できるのか、私?3回のレクチャーで覚えきれる気がしません。
さて当日です。


「ライチさんこんにちは~。ここまで来られたのがさすがです!今日が第一歩ですね」
早速の下の名前で呼ばれます。
両手でガッツポーズを作り、笑顔で出迎えるいつもの若いトレーナーさん。
「朝起きてエラい!」などと、ダメな人間どもを肯定してくれるコウテイペンギンちゃん(人気のキャラクターイラスト)みたいです。

「飲み物は持ってこられましたか?」
「いえ、特には」(前回言われなかったぞ?)
トレーナーさん、ちょっぴり眉をしかめながら
「ワークアウト中にはできれば500mlの水分を摂っていただきたいんです。よろしければペットボトルを販売していますが…」
よく見るとマシンエリアの中央に、会員さんたちのマイボトルを乗せたワゴン。
「買います~」
100円でミネラルウォーターを購入。
「今後お持ちいただく飲み物は甘みのない透明なものでお願いします。お茶も利尿作用があるので実はよくなくて、普通のお水がいちばんです」


いよいよマシンエクササイズを開始。
カーブスのメニューは、30秒のマシン→30秒の足踏みの繰り返しで、12種類のマシンを2周。
つまり1回につき24分で、その日はそれ以上やりたくてもできません。
好きなだけ鍛えられる一般のフィットネスジムと、一番違うところかもしれません。
ムキムキに鍛えたいかたは、よそへどうぞってことですね。

すでに4、5人がエクササイズしているマシンの輪。盆踊りに入るように、あいたところにすべり込みます。
マシンの動かし方、これが簡単なようでなかなか難しい。
とりあえず言われたとおり動かしてはみるものの、いったいどこに効く、何の目的の運動なのかいまいちわからず。
そして前回同様、マシンが重くてなかなか動きません。
30秒のリミットでは、ゆっくり上げて、下げてと3往復するくらいがやっと。
すぐに次のラウンドになってしまうのが、なんともいえない敗北感。

トレーナーさんからはやたらに「腹圧を入れて」「腹圧を意識して」と言われます。
腹圧、初めて聞いた言葉ですが、腹筋に力を入れろということのよう。
腹筋がないからトレーニング始めたんですけど…。うーん力が入らない。


「マシン3台おきくらいに、お水を飲んでくださいね~」
30秒の足踏みのあいだに水分補給をしてくださいとのこと。
確かに先輩会員の皆さん、オアシスに集まるサバンナの動物のように、中央の水場へ寄っています。
ボトルをあけ、マスクをずらしてぐいっと飲んでフタ閉めて、マスクをかけて、元のエリアに戻って足踏み。
やることが多くてとっても忙しい!私、水飲みに30秒以上かかって次のマシンに遅れてしまいました。
「水分とると新陳代謝アップにつながります!喉が渇く前に水分補給をお願いします!」


どうにかこうにか、動かないマシンと格闘の1周が過ぎ、もうへとへとです。
トレーナーさんの励ましも耳に入ってこなくなりました。
しかし、疲れて力が出なくなったことで、かえって私はひとつの悟りを得ました。
「動かさなくちゃならないのはマシンじゃなく、筋肉」

いや、偉そうに悟りとかいえない、至極当たり前のことですね!
マシンを動かすのが目的じゃなく、筋肉を動かすためにマシンを利用してるんだってことを、忘れていたんです。
2周めからは速度を気にせずに、使う筋肉を意識して丁寧に動かすように心がけました。


ふと、壁に貼られた会員さんの手書きメッセージのひとつが目に入りました。
「やせるのは自分でもできるけど、筋肉をつけられるのはカーブスだけ!」
これ、なかなかの名言。
だって、日常生活じゃここ使わないわーって運動、いくつもありますもん。

その筆頭は、両ふくらはぎを可動部に乗せて開いたり閉じたりする、婦人科の診察台そっくりのマシン。
内ももの筋肉(内転筋)を使うんですが、私は筋力が弱く、動かすのが本当に大変。
思えば内ももって、温泉で60代以上の先輩女性たちのお体を見るにつけ、例外なくやせてたるんでる部位です。
ここをムチッと鍛えたらだいぶ、老化に抗えるのではないかという気がします。
私は股を開閉するこの動きに「うっ産まれる運動」と名付けて、強化種目に指定しました。


不器用で覚えの悪い私も、つきっきり指導でなんとか2周を終了。
前回苦労した脈拍のカウントも、家で練習したおかげでうまくできました。
動きが遅いせいで汗もかかないし、水のボトルは半分も消費できませんでしたが、おいおい慣れていくでしょう!
マシンのあとは前回同様、約5分間のストレッチ。着替えなどを除き、合計30分のトレーニングですね。

それにしても、体育が苦手な私が全部のマシンを動かせたなんて…。
ストレッチしながら、私は心地よい達成感にひたっていました。
ポジティブ空間になじめるか不安もあったけれど、そんなの気にする暇がないくらい忙しかったですし、他の会員さんもひたすら無言でトレーニングに没頭していましたし。
変にべたべたとしたコミュニケーションのないこの雰囲気なら続けられそう。

「お疲れさまです!次回はいつ来られますか?」
1週間に1回から3回のペースがおすすめとのこと。
週2回を目標に、次回の予約を完了。思いがけないほど爽快な気分でジムをあとにしました。


次回は、1ヶ月後の変化のご報告ができればと思います。しばらくカーブス編、続きます!

チーム完熟・ライチ(ライター)

「チーム完熟」のクールダウン担当、通称・師匠。1971年生まれ。雑誌編集を経て1997年からコピーライター。既婚・子なし・別居中。2018年から認知症の実母の保護者となり、2020年に看取る。コロナ禍でのもっかのマイブームはプロ将棋観戦。
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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