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令和の化粧は、欠点を隠蔽しないという衝撃。「50歳のうぬぼれ鏡」vol.3

後光が射す美しさはダイバーシティ?

チーム完熟の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!


令和の化粧は、欠点を隠蔽しないという衝撃。「50歳のうぬぼれ鏡」 vol.3


ついにメイクアップレッスン当日。
前回のコラムで用意したコンタクトレンズを装着し、自分のいつもの薄化粧(BBクリーム、パウダーアイブロウ、マスカラ)でサロンへ。
申し込んであるのは、レッスン50分+眉カットコースです。


迎えてくれた担当のメイクアップアーティストさんは、30代前半くらいと思われますが、女の人の歳ってわからない!
もう、キレイな人としかいえません。
華やかに、されど派手ではなく、素敵にメイクをしていらっしゃる。
まつ毛のボリュームはナチュラル、アイシャドウはパール入りのブラウン系、お肌はヘルシーにつやめいています。
明るいブラウンに染めた髪は、ゆる感を残しつつすっきりまとめてあり、もう好感度がすごい。

これが令和の美人。モテる顔、ではなく好かれる顔。

無理してる感がないのです。
この人になら、私の顔、任せられる……!
明るい確信をいだきつつ、「よろしくお願いします」と挨拶をしました。



担当さん「今回はなにかきっかけがおありなんですか?」
ライチ「最近50歳になったので、記念にと思って」
担当さん「本当ですか?見えないです〜!」
いやいやどう見ても年相応。まあ、テンション上げの基本かな。

ライチ「若い頃に覚えたメイクから、知識がまったくアップデートされていないので、今主流のメイクを教えていただきたいんです。それにやっぱり歳を取るにつれて、昔と同じメイクは似合わなくなってきた気がします」
担当さんはふむふむと聞いています。
「じゃあ時間も限られていますので、ベースメイクを中心にしていきましょう」
まずはメイクオフ、そして化粧水。


私は皮膚が薄く、赤みが出やすい。かつ、毛穴が目立っているとのこと。
毛穴は保湿ケアで引き締まるそうで、高級エイジングケア美容液を塗られます。
さらに赤みを消すには青みピンクが良いそうで、ムース状のカラーコントロール下地。


普段肌に粗食を食わせているせいか、これだけですでにツヤっと整った印象に!
私の肌、ちょろすぎないか?
しかし美容液に1万2000円は出せませんわ無理無理。


ここでファンデーションの出番です。
流行のクッションファンデは私向きではないらしく、リキッドタイプをすすめられました。


「これくらいです」と指にとった量を見ると、米粒くらいの超・微量。
ライチ「えっ。足りなくないですか?」
担当さん「頬を中心に塗って、他はそのままで大丈夫です」
とのことで、毛穴や色ムラが気になる頬と、鼻先にちょっと塗ったくらいであとはなんとノータッチ。


ファンデーションを塗らない(部分がある)だとう!?


もう驚天動地の衝撃でした。
なんでって30年前の美容雑誌には、とにかく「コンシーラーでシミ・そばかす・クマ・ニキビ跡などの欠点をカバーする」テクニックばかり載っていたからです。


欠点隠しなくして化粧はありえない!

私はこう刷り込まれて大人になりました。
なのに何?コンシーラーどころか、ファンデーションすら塗らない?
どういうこと!?
頭が疑問でいっぱいになりつつも、メイクは進み、仕上げのフェイスパウダー。


担当さん「付属のパフに、軽くポンポンと2回粉をつけます」
これまた少ない。
顔全体をさらっとなでるとリキッドのベタつきが抑えられて自然な質感に。
これでベースメイク完成。
不思議です。ファンデーションをごく一部にしか塗っていないのに、なぜか全体に統一感があり、キレイに見える!



ライチ「あの、聞いてもいいですか」
担当さん「はい、なんでもどうぞ」
ライチ「私、肝斑っていうんでしょうか、頬に中年特有のシミがありますよね。
コンシーラーは使わないんですか?」
担当さん「あ、最初にお顔を拝見して、これくらいなら必要ないなと思いました。

人ってそういうの気が付かないですよ。
目とか表情の方に注意が行きますから


ライチ「じゃあ、クマはどうですか?」
担当さん「それはクマじゃなくて、くぼみの影ですね。さっきのフェイスパウダーにパールが入っているので、そこだけ重ねて、光の効果で明るく見せればいいと思います。
コンシーラーを塗ると厚ぼったく不自然になるので、使わないほうが」


改めてよく見ると、たしかに肝斑はうっすら透けているし、目の下に影もある。
なのに、全体として印象が「晴れやか」。


「化粧をした人」というよりも、「元気そうな人」「機嫌のいい人」が鏡の中にいました。


私は感動していました!
確かに欠点を消そうとすると、能面みたいに画一的な顔になってしまう。
少しくらいアラがあっても、その人らしい方がいいんですよ、という発想。
ダイバーシティ(多様性)が許容され、ルッキズム(外見差別)やエイジズム(年齢差別)が真っ当に否定されるようになった時代に対応して、メイクの思想もまた、変わっていたんだなあ。



では、ポイントメイクは今、どうなっているのか。
10年ほど前まで主流だった、アイラインマスカラ盛り盛りのアイメイクはすたれて、自然な目元の女性が増えた体感はあります。
それでも単なる「ナチュラル」「素顔風」とははっきり違い、上手にあか抜けてお洒落感を発散しているのが令和美人。

というわけで、次回ポイントメイク編に続きます!

チーム完熟・ライチ(ライター)

「チーム完熟」のクールダウン担当、通称・師匠。1971年生まれ。雑誌編集を経て1997年からコピーライター。既婚・子なし・別居中。2018年から認知症の実母の保護者となり、2020年に看取る。コロナ禍でのもっかのマイブームはプロ将棋観戦。
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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