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シングルマザー、2度目のコロナは神頼み?3 マンゴーvol.23

チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!


想定より長い連載になってしまいました。カンテラ開設以来、病の影が付きまとっているマンゴーです。もう一生うまく付き合ってゆくしかないのでしょうか。
その1はこちら
その2はこちら


さて、2022年の年末、子どもたちがコロナ陽性になり、泣いたりオラついたりと緊張が続いていた私。自分の異変に気付いたのは、子どもたちが発熱した翌日、担任の先生と電話で話していた時でした。

自分のことは自分では分からない、という典型

先生「ほんと、チビマンゴーさん(娘)もチビマンゴーくん(息子)も、大変ですね。お母さんも咳が出ているようで……ぜひお気を付けくださいね

そういえば、なんかしゃべりにくいと思っていました。
わたし、咳こんでいたらしいのです。


ついに……2度目のヤツが来たか……。
諦めとも挑戦ともつかぬ覚悟を決め、マンゴーは半年前に買った抗原検査キットを出しました。「研究用なので判断に使うな」とされている抗原検査キットでAmazonで購入しており、たしか1つ600円くらい。

ここでまた頭痛に耐えながら小市民のマンゴーは、思うのです。
「判断に使えない」はずの抗原キットをなぜ「売り」、私も「買って」しまうのか。

それは不安だから、ですよね。

結果が出たところで決定力がないことを知りつつ、「なんとなく」の確度を「きっと」「おおよそ」へ上げたいから調べたくなる。宙ぶらりんの状態から抜け出してなんとなくでも方向性を定めてほしい。結果が出たとしてもさらに確度を強めたい欲求が出るのでしょうが、人はやはり、もやもやに留まるのが苦手なのだなあ……とネガティブケイパビリティへ再び思いを馳せながら、開封です。

説明書を読み手順に従います。
長い綿棒で鼻の奥の粘膜を取り、緩衝液が入っている容器のフタを開け……あれ開かない、フタが抜けない。ちょっとこれどうなってんだろ。カタいんですけど。ラチが明かないので、容器の底をハサミで底を切ったら、中身が半分飛び散りました。うっそwいいのか?w 容器の不備も研究用だからしょうがないよね、てへというエクスキューズなのか? コレ不良品だよね? 混乱しながら綿棒の先を緩衝液につけ、かき混ぜ、振ったらまた溶液が飛び出したよw、しかしめげずに、測定カセットへ益を垂らしてだな……ハハハ……ズレたわww……こんなんじゃ判定できないんじゃないの、C線もT線も、どっちも線でないんじゃないの……ヒャハハ…w

ちなみにCとはコントロールライン、Tはテストラインのこと。
Cに発色がみられない場合、検査は無効となって再検査を行う必要があります。
陽性の場合は、C:コントロール、T:テスト、両方に発色がみられるのですが……

で、どっちもデました。
こんなに雑でも陽性判定、出るんかいっ!!


あれれ、いまの自分ツッコミで息が苦しいような…ハアハア……えーと、そうか、やっぱり陽性でしたね。はい、落ち着いて進めていきましょう。

たしか私が住む自治体の指示によると※1、同居している家族に陽性者がいて、「12歳以上65歳以下」の場合は、自分で抗原検査を勧められているのです。

しかし、陽性登録には研究用のキットではダメで、薬事承認されたキットを使わなくてはなりません。※2

それをどうやって手に入れるか。
たしか、どこかをタップするとGoogle Mapと連動して薬局群が表示され、「ここに売っていますよ!」と教えてくれたのですが……これを書いているいま、見当たりません。

おや、なぜでしょう。
当時はもうろうとしながらも第三の目が開いていたのでしょうか? 心の目? とにかく最寄りの薬局に電話をし、在庫があることを確かめて出発したのでした。

幸いなことに薬局は家から徒歩3分の距離にあり、閉局する1時間前に滑り込むことができたのですが、道中急にくらくらとめまいがして立ち止まりました。歩いてたった1分で息が切れます。そうだった……コロナは突然ガクンと堕ちるのだった……ゼエゼエ……なんとか薬局にたどり着くと、受付の方から丁寧に、そらもう丁寧すぎる説明を受けることになりました。

「抗原検査を買われるということは、身に覚えがあるということだと思うので、たとえ陰性でも自宅で療養してください(ビシッ)」

「はい……(いやもう限りなく陽性に近いブルー気分なんだが。『身に覚えがある』という表現をされると何か悪いことをしてなじられている気持ちになるけど……たぶんこの方はそういう意味で使ってないよな。そうか、『心当たりがある』って言いたいんだよな。安心してください、療養する気満々です!……どっちにしろ自宅療養なら調べる意味はなんなんだ……)」
普段以上に思考がこじれて螺旋階段に迷い込んだよう。

「手順ですが、まず……」

「は…い……(いや、さっき調べたし、夏にも薬事承認されたキットで調べたことあるし。 私も『もう知ってます』って言ったらよくない? )」

「次に……」

「どうしよ……立ってるのつらい、……苦しい……(マンゴー無の状態へ)」

「以上です」

「ハアハア……(息切れ)」


薬事承認された抗原検査キットは、ひとつ1800円もしました。
ここでまた小市民マンゴーは朦朧とした意識のなかで思いました。正規品はネットで買える研究用の3倍の価格です。先ほどの陽性登録方法のページを参照すると、薬事承認された抗原検査キットの結果でないと、陽性と受け付けないとありました。

わざわざ高い抗原検査を買って、わざわざ面倒なマイハーシスに登録する人は、いったいどのくらいいるのでしょうか。再び疑問が螺旋階段アッパーカットです。
まあ、私はこの原稿もありますし、しっかり登録しますけどね!

「記憶にございません」。

予想通り、薬事認可の抗原キットを使っても陽性が出ました。

(左が前出の研究用、右が薬事認可されたもの)
三度目となったマイハーシスに、薬事承認された抗原検査キットの名称とカセット、保険証をひとかたまりになるよう撮影し、必要事項を入力しようと思ったのですが……この時はめまいがひどくてできず、翌朝にまわしました。

この時点で夜。
昼寝していた子どもたちが起きたので、ママも陽性になっちゃった、などと話したかもしれません。
「かもしれません」というのは記憶がないのです。

たしか熱を計ったらマンゴーは38.7℃で、
「なんだ、子どもに比べたら、大したことないじゃん。」

と思ったのが最後です。


そこから私、どうしたのか……。

子どもたちのご飯とか?

お世話とか?

きっと、してたんですよね?
家に大人は私しかいないから。
うーん。

そしていま思えば、大人の38.7℃ってけっこう高熱です。
その判断も誤るくらい脳がバグっていたのだと思います。そうだ、内側から殴られるように頭がガンガン痛かったぞ。

とにかくひたすら寝て、食欲がないので水分だけとり、子どもたちのご飯の用意をして、寝ていた、そういうことにしておきましょうか……。

いま、ふたたびの療養生活へ

幸運なことに、子どもたちの熱は1日半で引きました。やはりオンコロコロセンダリマトウギソワカのご真言が効いたのでしょうか。重症化もせず、ありがたいことです。

しかし、「子どもの風邪は最後に凶悪になって母親を襲う(≒母親は疲れているので快復が遅い)」あるあるにより、私の熱は2日たっても下がりませんでした。私は子どもと離れてゆっくり寝たかったのですが、息子が「あれ!? ママも陽性なら、みんなで一緒に寝られるじゃん!」と気づいてしまいました……ふふふ、そうだね、賢い子じゃ。

本来は人数分布団があるのですが、まだ熱のあった私は身体に力が入らず、押し入れから布団を出すことができません。だからもともと敷いてあった2人分の布団を3人で使いました。「一杯のかけそば」というお話のように。いつか一人一枚の布団を使おうね……。子どもに蹴られたりしながら川の字になって眠ったのです。


発症3日目になって私の熱はようやく平熱へ戻り、療養生活4日目、世間はクリスマスイブでした。私たちは仲良し家族とクリスマス会をやる約束をしていたのですが、コロナ崩壊のため断念。代わりに予約していたカーネルおじさんのチキンを取りに行ってもらい、玄関前に運んでもらいました。
その時の写真がこちらです!

うぁあ、サンタさんが来た!
と思いました。


オレンジさんがはるばる送ってくれたスープも同着だったので、
盛りだくさんの愛がここに。

気を利かせて頼んでいないものまで色々買ってきてくれたママ友、救援物資を送ってくれるオレンジさん、存在が宝です。ありがとうございました。この場でも心から感謝申し上げます(合掌)。


そしてこの状況を知ったもう一人の友人が、ハッとすることを言ってくれました。
「マンゴーはシングルマザーだけど、助けてくれる人が近くにいるから倒れても大丈夫だね!」と。

あっそうか、わたし、助けてもらえるのか……。
一人でこの状況をなんとかしなくては! と肩に載せていた漬物石が半分消えたような、ほわっと温かい気持ちになりました。

私にはこの地域で地道に築いてきたコミュニティがあります。
実家が遠くても、シングルマザーでも、子どもたちときっと生き延びられる。
そう思えたのが第二次コロナ騒動の収穫となりました。
だいぶ重い対価でしたけれどもね。

私たち人間を病から救ってくれるという薬師如来さま。ひょっとしてその化身は、私のまわりにもあなたのまわりにも、すでにいらっしゃるのではないでしょうか。
時と場合によっては私にもその出番を果たせるのではないでしょうか。

余裕のないこのご時世だからこそ、やさしさが循環するといいといいですね。
みなさまが気持ちよく穏やかな毎日を送れますよう、オンコロコロセンダリマトウギソワカとお祈り申し上げます。


追記
自宅療養が明けたあと、マンゴーは例のごとくコロナ後遺症のようなものに悩まされ、娘がインフルエンザを発症。隔離と完治に成功するも、息子が遊具から落下して肩を骨折。今そのケアをする日々を送っていますが、それはまた別のお話……。生きているうちに安らいだ日々は来るのかマンゴーよ。


※1
埼玉県の陽性登録
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0710/covid-19/youseisya-touroku.html
※2
厚生労働省 薬事承認されている抗原キット一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11331.html


チーム完熟・マンゴー(ライター)

「チーム完熟」の下っぱ特攻隊長。厄年以上、更年期未満の1979年生まれ。フリーランスコピーライター / 唎酒師 / 2児の母 / 2021年5月に離婚。2020年末あたりから謎のめまいが頻発し、その原因を突き止めるべく病院をめぐる。2021年現在のストレス点数は685点(※300点以上で翌年に健康障害が生じる危険性80% 出典:夏目誠・大阪樟蔭女子大学教授提供より)。
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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