チーム完熟の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!
突然ですが、現在ABCテレビ・テレビ朝日系列で放映中の『トロピカルージュプリキュア』をご存知でしょうか。毎度おなじみ明るく元気な主役陣の敵は、深海に住む「あとまわしの魔女」という部屋に閉じこもりがちな魔女。
どうやらやる気がなくて伏せがちらしい……ん? それって更年期じゃないかと勘繰りたくなりますが、子育て中のお母さんなら身に覚えがあるでしょう。
子ども優先で、自分をあとまわしにしてしまうことを。
あとまわし案件の最たるものは外見です。
化粧は薄くなるか無くなるか。
服は楽しみよりも機能で選び、美容院へ行く頻度は下がる。
次に趣味やささやかな楽しみを「あとまわし」にして母親自身の”メンテナンス”が鈍化していくと、自身の体調不良まで気にしなくなる……。
そんな母親の”なんとなく不調”を「子どもに献身的な愛」などという美辞麗句にすり替えてはいけません。それはメンテナンスを怠ってきた心身からの”あとまわしの逆襲“であり、あなたが魔女になってしまう呪いかもしれないのだから……!
というわけで、30代のときとはまるで違う強いめまいに悩まされるようになった41歳のマンゴーは、身体の棚卸のため”疑わしきは受診”スタイルで原因と症状を潰すことを決意しました。
(前回:https://cantera-kounenki.com/mature/223/ )
さまざまな情報から更年期障害にアタリをつけ、婦人科を受診……したかったのですが、1か月待ちだったゆえ脳外科を受診したのです(なぜそんなに混むのか、婦人科よ)。
さて、これまで縁のなかった脳外科とは、ひどい頭痛やしびれ、めまい、もの忘れ、肩こりなどの症状がある場合、脳の外傷や脳の血管障害などを調べるために受診するところだそう。本人のカンとしては、脳関係のめまいではないと思いつつ”疑わしきは受診”です(大事なところなので2度言いました)。人生初のMRIで脳画像を取ることに。
※MRIは医師の診察による判断で行われる検査です。
検査着へ着替えたあと看護師(もしくは検査技師?)さんに促されるままMRIのベッドに寝転がり、ヘルメットのようなものをかぶせられ、耳をふさがれ、あれよあれよという間にドーナツ状の空間へ送り込まれました。
なんとなく棺桶の中を疑似体験しているようです。
閉所恐怖症ではないと思っていたけど、けっこうな圧迫感。
なんだか呼吸を整えないとパニックになるような気もする。
全集中! MRIの呼吸……いかん、りきんで右手に握らせてもらったナースコールボタンを押しそう。
そのうち頭上に轟音が鳴り響きました。
ブインブインブイン……!
ガイガイガイ……!
ヴィヴィヴィヴィヴィッッ……!!!
う、うるせぇ~!!
何人かの宇宙人ドクターが触手から音の違う波長を出し、検体(わたし)を調べている図が浮かびました。こいつはヒト科にしては大脳新皮質がうっすいぞとか、前頭葉がちっさいぞとか言われているんだろうか、うっせーわ! 大きなお世話じゃ(妄想)。
検査から20分後、ようやく私は宇宙人ドクターから開放され、妄想も幕引き。どなたか知っていたら教えていただきたいのですが、強力なMRIの磁場は妄想を掻き立てたりするのでしょうか。
「特に問題は何にもないね~」。
お医者さまに促されるまま画面を見ると、NHK人体スペシャルでよくお見かけする脳の画像がありました。
……なんて美しいのでしょう。
有機体だから完全対称とはいかないけれど、エネルギーを秘めてのたくるように太った鏡合わせの右脳と左脳。首あたりからせりあがり、あるところでY字状に分岐する太い血管。その先も広がりゆく細い血管。
それは確かに、1秒も止まらず、生きて、動いている、と確信させてくれる生命の美。
私がぼーっとしている間にも粛々と働いている完全な司令塔の姿だったのです(脳がボーっとさせているというニワトリが先か玉子が先か論はさておき)。
ありがとう美脳! (感涙)
ぜひ、スマホの待ち受け画面に欲しい……!
くれるのかな? 買い取りなのかな?
「えーと、特に問題ないけど、漢方でも飲んでおく?」とPCに向かいながら質問してくる先生。
「あ、はい……(脳画像は買い取れますか?)」
「じゃ、とりあえず2週間分、出しとくから」
「はい、ありがとうございます……(ああ、脳画像の件、やっぱり聞けない!)」
お医者さまとの問答はものの2分で終了。
想像どおり、めまいの原因は脳由来でなかったことの安堵に加え、マンゴーは「私の重要器官は美しくて健全である」という妙な自信を手に入れたのです。
あたくし、脳の中身はアレだけど、外見なら負けなくてよ?
とはいえ、めまいはおさまらないため、次回はいよいよ本丸「婦人科」に乗りこみます。で、また予想外のことが起きるのでした。
マンゴー レベル41
状態:頭の中に、あの美脳(ナルシシズム発揮)。
体力:前回40/100→今回50/100
気力:60/100
入手アイテム:漢方の半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
支出:合計約9,000円(脳検査+画像 約7,000円・半夏白朮天麻湯 2週間分約2,000円)
獲得した経験値
・めまいの原因は脳ではないという安堵。
・MRIはとてもうるさい。
・ド素人でも脳画像を見て「脳の血管が切れたり、詰まったりすると命が飛ぶ」という確信を持てた。気を付けよう、コレステロール……。
・医院では症状にまつわる以外のことを聞きにくい。
(脳画像をスマホの待ち受け画像にしたかった/男性医師が履いていたサンダルが20年前のドリスヴァンノッテンのようでオシャレ。どこで買えますかー?)
つづく