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毎日忙しく、疲れもたまりがちなメノ活世代。「運動した方がいいのはわかってるけど、これ以上がんばれないよ~」っていうのが正直な気持ちでは?
がんばらなくてもいい、気持ちいいレベルのゆるーいトレーニング&ストレッチ<メノトレ>は、今日のからだを快適に、明日のからだをもっと元気にするコツをお伝えします!
朝晩と昼の寒暖差がきびしく、体調を崩しやすい季節になってきましたね。そこで今回は、疲労や不調に対して一番の薬ともいえる「質の良い睡眠」を掘り下げます。今年9月4日には、日本人の睡眠状況の改善に取り組む一般社団法人日本睡眠協会が発足。いま、質の良い睡眠が注目を浴びています。スッと穏やかに眠りに入るためには、体内リズムを作ることと、就寝前に一度体温を上げておくことがポイント。今回は眠気のメカニズムと入眠のコツをご紹介いたします。
こちらのメノトレでも何度となく書いていますが、健康生活を送るためのキホンのキが「規則正しい生活」。朝の一定時刻に起床し、太陽光を取り入れることで、入眠時刻は徐々に安定していきます。健康成人を対象にした観察研究では、起床後に太陽の光を浴び、体内時計のリズムがリセットされてから15〜16時間後に眠気が出現することが示されています(※1)。
このとき体内リズムの調整機能を担っているホルモンが、脳内の松果体という部分で生合成されているメラトニンです。メラトニンは多くの生物において生体リズム調節に重要な役割を持っており、渡り鳥が飛び立つ時期を知るメカニズムにも関わっているといわれています(※2)。
そして、私たちの松果体は、1日のうち主に2つの手段によってメロトニンの分泌量を増減させています。ひとつは体内時計による神経出力によるもの。もう一方は、目の網膜から光刺激を取り入れたときです。光刺激が強い時、すなわち明るい朝〜昼はメロトニンの分泌は低く抑えられ、反対に光刺激の弱い夜間にはその数十倍の分泌が行われるようになっています。
こうしてメロトニンの増減が正確なリズムで行われていくこと、さらにメロトニン自体の軽度な催眠作用によって、夜は自然に眠くなる身体になっていくと考えられています。
では体内時計を正確にするために何をすればよいのでしょうか。前述のように、朝の光を浴びて一日の起点を作ってあげること。さらに夜はなるべく強い光(1000ルクス程度)を浴びないこと。寝る前にスマホを見たり、まぶしい部屋にいることは避けておくのが良さそうです。
入眠しやすくなるもう一つのポイントは、寝る前にいったん体温(脳温)を上げておくことです。眠気は、脳温が低下するときにあらわれやすいので、一過性的に温度を上げておくと、そうしなかったときに比べて温度の差が生まれ、入眠しやすくなるそうです(※3)。
一過性に温度を上げる手段といえば、軽い運動や入浴がありますよね。あまり運動をしない人であれば、夕方から寝る2~3時間前に10分程度の散歩だけでじゅうぶん。目安は、普段より心拍数が上がり、じんわり汗がにじんでちょっと疲れる程度です。運動に慣れてきたら、徐々にウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を増やしていきましょう。
習慣的に運動をしていない方が、がんばりすぎて筋力や心肺機能のキャパシティを超えてしまうと、疲れすぎてしまったり交感神経のスイッチが入ってしまって夜眠りにくくなったりなどの逆効果にもなるので、ご注意くださいね(なお、私は先週それをやらかしました涙)。
また入浴は、38度のぬるめのお湯で25-30分、42度の熱めのお湯なら5分程度を目安に。こちらも寝る時刻の2~3時間前に済ませると効果的です。
さて、今回は体内リズムの整え方と一時的な体温の上げ方にふれてきましたが、大切なのは自分が心地よいことです。例えば「寝る前にスマホを見てはいけない…!」とか「運動して体温を上げねば!」という思いがストレスになるくらいだったら、その習慣はやめてOK。自分は何をすると、または何をしないと眠りやすいのかを探してモノにしていきましょうね。
次回はよりぐっすり眠るための、寝る直前のストレッチをご紹介いたします。睡眠の質を上げて、生活の質を底上げしていきましょう!
※1
厚生労働省健康局 健康づくりのための睡眠指針2014
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
清水徹男. 睡眠障害の心身への影響. 日本臨牀 2013;71(suppl 5):51-56 P63
※2 メラトニン 厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-062.html
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html
※3 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団
https://www.health-net.or.jp/tairyoku_up/chishiki/sleep/t03_10_03_02.html
参考 一般社団法人日本睡眠学会
https://jssr.jp/about
監修:理学療法士 浜野 久美子