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鍼で不調にトドメを刺せるか 不調原因さがし vol.8

コリが抜けていくことに驚きの完熟マンゴーさん

チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!


鍼で不調にトドメを刺せるか 不調原因さがし vol.8

門派をかえてみる

「その後、体調はいかがですか?」

正体を知っている方々に、あいさつとしてこう聞かれるようになってきたマンゴーです。
おかげさまでコロナ後遺症のような「なんとなく不調」は三歩進んで二歩下がる、徐々にですが着実に快方に向かっています。

さて、昨年まで身体の不調は西洋医学でケリをつけようとしてきたマンゴーですが、その見地によると私の「自称・健康ではない状態」は、「不定愁訴」とみなされる様子。

脳、子宮、耳、心臓、肺の各部位を検査しても、結果は「異常なし」。
「異常がある」と感じているのは私の気のせい、もしくは健康でないにしても取り立てて治療を必要とするほどの深刻な事態ではない、と判断されているようです。


まあ、実際そのとおりなのでしょう。

しかし、人は「理解されない」と感じると、ムキになってしまう生き物です。特にマンゴーはこじれていますから、何か問題はあるのではと考えて東洋医学の門を叩きました。鍼灸院です。

これまで病院行脚をして得た私の印象として、西洋医学では身体がすでに病気状態にある場合、その悪い部位に対して重点的に治療を行い、全体を回復させていくという考え方があるようです。

一方、東洋医学に対しては、身体全体のバランスを整え、全身機能を底上げして健康状態に向かっていくイメ―ジを持っています。何千年という長い時間にわたって蓄積した、星の数ほどの人体反応がエビデンスなのではないかと。

マンゴーの各器官に問題がないのなら、ぜ・ん・た・いのバランスが乱れているにちがいありません。だから東洋医学に立脚して鍼治療を行う鍼灸院がよいのでしょう。
……でも正直、行きたくなかった。

だって、刺されるんですよ?(涙)

手の平に汗をかきまくって初診にのぞむと、しかしそこには仏がいたのです。

メノポーズ女子に刺さる問診

初診では5分ほどかけて予診票に記入をしていきました。一番悩ましい症状や既往歴、睡眠時間や飲酒の習慣などを細かく書き、それをもとに問診がスタート。先生は鍼のようにシュッとしていて同年代とお見受けする方でした。


先生はお聞きになります。
「『倦怠感は産後から』とありますが、コロナ罹患後の倦怠感と同じ種類のものですか?」

「不眠症状があるようですが、寝付くのに時間がかかるということですか?」

「腰が痛いということですが、右側ですか左側ですか?」

……なんということでしょう。
ご質問のきめ細やかさたるや、粉雪のようです。

数か月前に受診したG病院では、私の話が終わらないうちに「更年期障害」と決めてかかられ、心配した看護師さんが「あれ(診断)で大丈夫ですか?」と待合室まで追いかけてきたこともあったというのに……。


大々的に不定愁訴と公言するまでいかずとも、体調にモヤモヤを抱えているメノポーズ女子にとって、「気のせい」と一蹴せずに話(愚痴)に耳を傾けてもらえたら、それだけで心が救われますよね。
マンゴーの目には、先生に後光がさしたようにうつりました。


さて問診を終えて先生曰く、
「マンゴーさんの痛みを伴う自覚症状はすべて上半身に集中しているので、血が上半身ばかりに上って、下にいかないのでしょう」

言われてみれば、動悸、肩こり、腰のこり、不眠、息苦しさはすべて、上半身を苦しくしているもので、下半身である足の指は常に冷えています。

「下半身に血を流すような打ち方をしますね」

さっそく両手首の脈を診られたあと、治療が始まります。

「当院では患部のみの治療は行わず、全身に細い鍼を刺して治療していきます。失礼します」

まずお腹が丸出しになり、触診されたあとプスリ。
「いかがですか?」
「……ちょっと痛いです」

次は足首へ
「婦人科系のツボですね。(プスリ)いかがですか?」
「ぎゃっ……!痛いというか重いです」
鍼の刺し方はいくつかあり、刺してすぐ抜くものもあれば、しばらく置く方法もあるよう。

「鍼の狭い世界では、『響く』という表現を使うのですが、響くという感覚……」
「響き渡っていますっ!」

「ここは肩ですね。(プスリ)いかがで……」
「ひぃいい!」

「目です(プスリ)ここはいか……」
「だああっ!! 無理です……!」
鍼をチョンと刺して抜いてもらったにも関わらず1分くらい刺されている感覚が続きました。

「自律神経が乱れている方だけが痛みを感じるところですね(プスリ)」
「み、乱れています……!(涙)」


マンゴーはこれまで4回ほど通っているのですが、毎回うめくのは首の後ろにある「痛みの3部作」である呼吸のツボと、「(ほぼ毎回)今日イチ痛い」ヒザ裏にある腰のツボ。

やはり、そこが悪いのでしょうか、先生。
「その場合も考えられます。特に痛みを感じる場所は、普段使われていない筋肉が呼び起こされていたり、血が滞っているためでしょうね」。


治療の終盤にさしかかると、冷えがたまっている箇所にお灸をしてもらいます。この時ばかりは温泉に浸かっているようでポカポカ。あ~このまま寝たい。


その後、両手首の脈を診られて終了。
あとから知ったのですが、脈からは西洋医学の「臓器(心臓・肝臓・腎臓・肺など)」とはやや異なる範囲の、東洋医学における「臓腑(心・肝・腎・肺など)」を診るのだとか。そしてそれらを総合的に判断して私の体調を確認するのだといいます。


手首の脈だけで身体の様子が分かるなんて

東洋医学のワザ、すごくないか……!

鍼は身体との対話スイッチ

最後に先生から私の身体の様子を教えていただきます。
「今日は、マンゴーさんの全身に60か所ほど鍼を刺しましたが、まったくといっていいほど血は出てきませんでした。もう少し出てもいいと思いますので、食べられるようであれば肉や赤身の魚をお摂りになった方がいいですね」

「食べます!」
血が足りない……そういえばコロナ後、肉をあまり食べたいとは思わなくなっていたのでした。

「マンゴーさんの身体は省エネモードで動いている感じです。今のうちに全身を使っておいた方が今後のためにもいいと思うの……」
「はい、使います!」

「できれば、1日に2リットルくらい水分を摂った方がよろしいか……」
「はい、飲みます。」


マンゴーは身体が鍼に反応しているのを実感し、一時間弱の治療ですっかり”腹を見せた犬”と化しました。

眠気や足先のあたたかさから血のめぐりを感じます。鍼が「長く響いた」箇所は、怠けていた細胞がお尻を叩かれてしぶしぶ動き出しているよう。反対に鍼が鋭く短い痛みをもった部分からは、ワダカマリがぷしゅーっと抜けていく感覚を味わうのです。時にはその夢を見てうなされるのですが……。


それらはまるで「身体からの声」。
鍼が刺されることにより、これまでほうっておかれた身体のすみっこが声をあげたのでした。


初診から2か月がたち、私にとって水分は1日1.5リットルほどが適切だと知りました。肉を食べたいときはたっぷり食べ、胸の痛みがある日は疲れのサインと受け止めて9時間寝ることもしばしば。

そんな生活をつづけたところ、めまいは消え、気付けば一晩続けて眠れる日が増えました。身体に愛着がわくようになり、前回のコラムでは及び腰だった筋トレを開始。

なんだか、やる気まで出てきちゃった。

鍼治療が起点となって、マンゴーの暮らしは心地よくまわりはじめました。きっとこれからも体調が揺れることはあるでしょうが、安心して身体に向き合えそうです。医療においても、捨てる神あれば拾う神ありなのかもしれませんね(合掌)。


記事監修協力
さいたまのハリとお灸 豊泉堂
https://ho-sendo.com/

チーム完熟・マンゴー(ライター)

「チーム完熟」の下っぱ特攻隊長。厄年以上、更年期未満の1979年生まれ。フリーランスコピーライター / 唎酒師 / 2児の母 / 2021年5月に離婚。2020年末あたりから謎のめまいが頻発し、その原因を突き止めるべく病院をめぐる。2021年現在のストレス点数は685点(※300点以上で翌年に健康障害が生じる危険性80% 出典:夏目誠・大阪樟蔭女子大学教授提供より)。
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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