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「シンママ向けマッチングアプリ炎上」で思い出したシンデレラストーリー。アラフォーからのセルフラブvol.21

育児と恋愛を両立させたかった完熟マスカットさん

チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!


実業家の前澤友作氏が監修したシングルマザーのためのマッチングアプリcoary」(コアリー)がSNSで炎上し、リリースの翌日には配信が中止となった。

前澤氏のTwitterアカウントで「シンママの恋活・婚活を応援。シンママのためのマッチングアプリ出来ました!」を見て、はぁぁぁぁっ⁉︎と、声が出た。

私も息子が小学生の時にシングルマザーになっている。
今はもう成人してるけど、見逃すことができない話題だった。


前澤氏のツイートはWebCM付き。これがまたひどい。
小さな子がいるシンママOGとしてもコピーライターととしても、なんじゃこりゃと怒りにも似た感情が湧き上がった。

CMの内容はこんな感じ。
アラサーくらいの小ぎれいなママが、幼稚園児くらいの女の子を抱いている。
子「ママ好きな人いる?
ママ「えっ? いてもいいの?」
子「うーん、いいよ!
ママ「え〜ほんとかな〜
そして大きくキャッチコピー。
coary(コアリー)なわたし、恋します。


エヴァのアスカじゃないけど、叫んだよね。
「あんたバカァ?」って。


いやいやいや。軽すぎるだろ。頭悪すぎるだろ。
このママさん、
そんな小さな子にまず「好きな人いる?」と聞かれてる脇の甘さ、どうなのよ。
百歩譲ってそこはありとしよう。
でもさ、娘ちゃんからの質問で「好きな人=恋愛」って発想どうかしてるだろ。
娘ちゃんは自分のことをママに「好き」って言って欲しいのかも、とかまず思うよね?

「え? いてもいいの?」ってさぁ。
だれが「いい」って言った?
会話まともにできんのか?
娘は聞いただけで、その先なんも言っとらんだろ。
そこだけ勝手に察するの?

それにたいして娘ちゃん、さらに「うーん」って。
考えちゃってるじゃん!
なのに「え〜ほんとかな〜」って……。
そこまで言わせておきながら、疑いを向けるナゾの発言……。

からの〜、
恋します!ってどんだけやねん!

もはやこれ、ディスコミュニケーションを通り越して虐待だと思う。


こういう女性がいないとは言いません。
いるかもしれない(いたらごめんね。意見は変わらんけど)

でも、このCM、どこの誰が作った?
コピーライターとして広告に関わるものとしては、ワナワナする。
(知り合いだったらごめんね。意見は変わらんけど)

このアプリへの批判としてTwitter上に
「シンママをバカにしているのか!」という声が多かったことと、
このCMは無関係じゃないと思っている。


シングルマザーと言っても、独り身になった理由はさまざまだ。
死別もあるし、浮気されたもあれば、しちゃったもある。
恋したいと思う理由だって、さまざまだろう。
シンママをステレオタイプで描くことの難しさはここにある。

でも私が知る限り、多くのシンママは子どものことを第一に思っている。
もちろん母性神話で子ども第一を、語るつもりはない。
時には「子どもがいなかったら…」と違う世界線のことを考えちゃったりするほうが、
むしろ当たり前だろうと思う。

それでもやはり、子どもの存在が日々のど真ん中に位置している。
母性云々ではなく、それが親になった大人の責任でもあると思う。
かつての私も恋をして彼氏に夢中になったけど、そこは変わることはなかった。

多くのシンママが、新しい恋をこんな軽いトーンでスタートできるなら、
そもそもこんなアプリいらん。

広告は企業の声だ。
こんな発言するやつは、中身も空っぽであることが予想される。

実際、アプリにはさまざまな問題があった。
一番の懸念は、母子の安全を脅かすものであるという点。

女性のプロフィール欄には「子どもの年齢層・性別・人数の表示」や「元配偶者との関係」「都合のつく曜日・時間」の項目がある。

こんなこと書くのもおぞましいけど、世の中には性犯罪を行う小児性愛者がいる。
実際に結婚相談所には、シンママだけを選んで子どもへの暴行をくりかえすケースもあるというのだ。子どもの年齢と性別は彼らにとってもはや獲物のメニュー。
さらに都合のつく日の記入から、生活スタイルはただ漏れ。
ストーカーも大喜びのアプリ設計だ。

控えめに言っても地獄。
広告同様、すべてが軽すぎる。
即配信中止になってくれて、本当によかった。


一方で私はシングルマザーの恋については、めちゃくちゃ応援したいと思っている。
いのち短し恋せよシンママ。
私もシングルマザー時代に、恋愛した派だったから。

実際におつきあいをして私の支えになってくれた人もいたし、そうならなかった人もいる。

いま思い出したが、ママ友から
学生時代の同級生(40)がめちゃくちゃいいやつなんだけど、彼女がいなくてさ。マスカットちゃんに紹介したい!金持ち!」と言われ、会ってみることにした。

恋愛ジャンキーの私としては、お金はさほど関係ない。
とはいえ、極貧シンママとしてはそこに魅力を感じなかったといえば嘘になる。

初日の印象。
たしかにいい人ではあるけれど、まぁそんな感じ。
レストランでの食事を済ませ、息子が塾から帰って来る前に帰宅した。

3回目のデート?で、 まだ帰したくないと言われる。
だがしかし。
「息子が帰って来るから……」と伝えたところ、
いつも同じ時間に帰っちゃう、まるでシンデレラだね」と言われた。
ピクリとも好きにならなかった理由が腑に落ちた。
シンデレラってwww
そしてもう二度と会うことはないと、鳥肌を立てながら確信する。

とはいえ、優しかったしご馳走もしていただいたことは感謝しかない。
そういうふうに扱われることは、DV離婚をした私の心を確実に慰めてくれた。
(彼が幸せになっていることを、心の底から願う。ずっと忘れていたけど)


当時はマッチングアプリはまだなく、同システムは出会い系サイトのみという時代だった。
なので出会った数名は、職場などリアルな場で出会った人たちだ。
最初から「シンママです。恋愛したいです」と登録して出会ったわけではないから、
恋愛関係になる効率は非常に悪い。

実際、お気に入りの男子と飲みに行った際に「息子6年生かー。マスカットさんが育ててると思うと、さらにめんどくさそうだなー」ととんでもないこと(しかし的を射ている)をストレートに言われ、「うるせーよ」と思いながら帰ったこともある。

でも、そもそも恋愛って、効率の悪いもの。


医者だ、弁護士だと条件で選んで付き合ったとしても、彼がトラブルで無職になった時、
「はい、では、さよなら」ってできないのが恋愛ではないだろうか。
お互いに条件で決めましょうって同じ気持ちであれば、それはそれでいい。
ただその場合は「恋愛」ではなく「結婚の契約」になる。

私は「結婚の契約」にはさほど興味がない。
だから、シンママであっても少なくとも前者のような「恋愛」をしたいと思った。
好きという感情を持ちあって、一緒に人生を歩んでいく人がいい。

人生なんていう重さを求めてない、女として気分転換させてもらえればいい、というのもありだろう。それも全然否定しない。
むしろしっかり恋を楽しめばいいと思う。
それなら既存のマッチングアプリで、子どもの情報を晒すことなく相手を見つけてください。

でも前澤氏がうたった「婚活」のほうに魅力を感じるなら、
効率を優先する思考からは離れた方がいい。

自分と合う相性の相手をみつけるだけでも大変なのに、
子どもとの相性までマッチさせるなんてこと、条件検索できるわけがないのだから。

それはとても時間もかかるし、傷つくことも多くなるかもしれない。
でも、条件はまるで合ってないのに、
好きなタイプでもなかったのに、
なのになのに幸せになっちゃった!というケースもままある。
ちゃんとある。


前澤さんには、マッチングアプリなんかじゃなく、
シンママの働きやすさ、休みやすさを向上させる企業や、子どもたちが安全安心に過ごせる場作りを監修してくれよと思う。

そして私たちは「効率よく」に飲み込まれちゃいかんのだ。
愛も人生も非効率なものなのだから。

チーム完熟・マスカット(ライター)

「チーム完熟」イチの恋愛体質。十数年前にDV的なごちゃごちゃの果てに一人息子を抱えて離婚。元夫とはそれっきり。昨年、息子の独立を機にフリーランスに。コピーを書くことのほかに、ヨガと瞑想を広げる活動も展開中。人生の後半は、好きな人と好きなことしかしないと決める。
※現在は別業にて活動中
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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