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チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!
オン コロコロ センダリマトウギソワカ
みなさまお元気でしょうか。お薬師さまへのご真言を唱えることが日課となったマンゴーです。
さて、コロナ陽性者続出の第8波、子どもたちが39度以上の熱を出し、息子はバグり、娘は熱性けいれんになりそでならない緊迫状態にいた一家の続きをお伝えします。
私はご真言を唱えながらなんとか落ち着こうとしつつも、次なる試練を迎えていました。
発熱外来のある病院まで、交通手段が……徒歩なんです。
不幸中の幸いながら、近所の小児科が「かかりつけ患者限定」で発熱外来を開設しており、予約を取ることができました。その距離、徒歩7分。近くてありがたい、でも39.3度と39.2度を連れての行脚です。
コロナ疑いのおり、公共の交通機関は使わないよう勧められています。ウチに車はありません。子どもたちがもっと小さかったら電動自転車の前と後ろにのっけていきます。しかし、10歳と7歳を同時に連れていくには……徒歩一択。
「Mクリニックまで、歩くよ!」
あえて元気よくかけ声を発し、日が暮れた風吹く年末の街をフラフラの子どもたちと歩きました。
私ね、子どもたちは文句のひとつでも言うと思ったんですよ。寒いし、しんどいし。でも黙々と歩くんですよ。昔は「ヤダッ!!」とか言ってた子たちが、しずしずと歩いている。成長している。
ウチの子たち、えらくないですか?(涙腺崩壊寸前の親バカ)
さらにMクリニックには時間通りに到着したものの、中に入れてもらえず外で15分くらい待たされました。
ベンチもなく、高熱フラフラの状態でビルの冷えたタイルにもたれかかる我が子たち。
「寒いよう……」
「冷たいよう……座りたいよう」
見ていられないのです。
子どもが凍えるでしょうがッ!
だったら予約時間、ズラさんかいッ!
と殴りこもうかと思った矢先、ようやく半隔離部屋に通してもらえました。
あのときの設備はすごかった。
まず看護師さんと医師は防護服と手袋を2枚重ね。
さらに透明な壁のようなものから分厚いゴム手袋だけがだらんと出ているもので区切り、PCR検査はそのゴム手袋を通じて行われました。
子どもの顔は、業務用の空気清浄機のような装置の方に向けられ、みなさんかなり殺気立ってらっしゃる。
「おかあさんっ! 娘さんの方がアスベリンでくらくらするみたいですが、どうしますか?」と叫ぶお医者さま。
あれ、そんなことあったっけ……?
「えっと、それはもう大昔のことなので……」
「じゃあ、出して(処方して)いいんですねっ!?!?」と医師絶叫。
「お願いしますっ!」とつられて絶叫。
そうだよな、院内感染を起こしたら大変だもんな。先生たちが倒れたら診てもらえなくなるわけだし。医療者のみなさま、ありがとうございます。
マンゴーはさっきの殺気を引っ込めました。
ところでいま私、素手で子どもたちを触ってるんですけどね、たぶんアレですよね、やっぱりカウントダウン、始まってますかねえ。
脳裏にジャック・バウアーがちらつきました。
小児クリニックの待合い場にて放心状態でいること数分。あっという間にPCR検査の結果、陽性が出ました。まあそうだわね。
看護師さんによると、我が地域は第5波のときとちがって自分で陽性登録を行うそう。WEBまたは電話で登録の際、陽性と判定された医療機関番号を入力せよとのことで、番号が書いてあるチラシをもらいました。
説明は早口で行われ、ハイ出て、出て~という感じで寒空の下へ。
冷たい風以外にも、身体にこたえるものがあります。
まあ、コロナですからね……。
何かと面倒ですけどね……。
隣の薬局で手続きを済ませ、薬を待つこと……え、15分たった。
子どもたちは再び寒いよう、冷たいよう、の限界に達したので、いったん家へ連れ戻って寝かせ、私だけ薬を取りに戻りました。このときはいつもダルいマンゴーが走れたので、「ああ、やっぱり今は緊急事態で私の身体が緊張してるんだなあ」なんて思ったことを覚えています。
さて、薬をいただいたらさっそく子どもたちに飲んでもらいましょう。
「よくがんばったね! これさえ飲めば、大丈夫だから!」
あえて強めに暗示もかけます。
脱水も心配なので、水分もしっかりと。
私も含め、一家でカロナールが効く体質なので、これで熱性けいれんは回避できるでしょう。一時的とはいえ深く眠れるようになるでしょう。
健やかに眠ってくれ。まだ安らかに眠らないでくれ。
ふぅうう……。
昔はカロナールなんてなかったから、子どもが熱を出したら生きた心地しなかっただろうなあ……薬そのものが薬師如来さまだよなあ……今ってありがたいなあ。薬師如来に病を治していただくご真言、オンコロコロセンダリマトウギソワカはもっと重かったに違いありません。
時空を超えて昔の母親たちに想いを馳せたりしていたら、子どもたちへの愛おしさなのか、頼もしさなのか、安心感からなのかはわかりませんが、涙が出ました。ぐすん。だって女の子(古)だし、この家、あたししか大人がいないんだもん。
子どもたちが寝付くと、元夫に協力を仰ぐかもしれないので「子ども二人ともコロナ陽性」の旨をLINEで連絡しました。
あら、さっきの発熱連絡は既読になっています。
へえ。
その後、家の中を消毒しまくり、食事をし、家事をし、私が倒れた場合の仕事を算段しなおし……とバタバタしていたら、先のLINEに珍しく返事がありました。
「マジか」以上。
……。
ああ、あたしはいつだってマジ(本気)だぜ?
と無性にオラついたのを強く覚えています。
そういえば元夫も前週に発熱したと連絡がありました。コロナ陽性だったのか? との問いかけに対して既読スルーなところを見ると、検査をしていないのかもしれません。
正直、そういう人は多いでしょう。
コロナにかかると見舞金がもらえていた医療保険も、コロナは対象外とする会社が増えました。私の加入している保険会社もそうです(チッ)。
さらに、先ほどクリニックで渡されたチラシにて元にマイハーシスに登録してみましたが、この時点で元気だったマンゴーでさえも手続きがややこしくて面倒と感じます。マイハーシスの本文中にある注釈をタップして飛ぶと元の画面に入力していたはずの事項がまっしろになっていたり、「検査結果一覧」と「保険証」と「子育て医受給証」を一枚におさまるように撮ってアップしたり……引っ込んだはずの殺意が再び頭をもたげます。
これ、デジタル慣れしてない人は画面を閉じるのではと思います。
そのうえ症状の質問に対し、仮に「起き上がれないほどの倦怠感」「息苦しさがある」という中等~重症の疑いがある項目にチェックを入れたとしても、誰かが助けに来てくれるわけではないでしょう。
私、第5波のとき、そうでしたし。
後で何かあったときに(ヘタすれば死亡時に)、記録は残っている、ということでしょうか。
ひょっとするとこの記録を活用する機会もないのかもしれません。
現状は「陽性者の善意にまかせてログを取っている」だけなので、陽性者のカウントはかなり違うんじゃないでしょうか。
「未曾有の事態」とよばれるコロナ禍も早4年目となりました。
接触アプリの失敗やら、ワクチンの使途不明金やら、コロナに関連する騒動が残念すぎて、政治が未曾有の事態だよと、ほとほと疲れてきます。まったく身体はダルいし、頭はガンガン痛むし、鼻水も出てきたような……おや?
あ れ ?
つづく