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エストロゲンの減少は髪にも現れる?「50歳のうぬぼれ鏡」vol.5

かぶり物を脱いだライチさん、髪のお悩み

チーム完熟の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!


エストロゲンの減少は髪にも現れる?「50歳のうぬぼれ鏡」vol.5

何かと悩み多かりき、中年の髪事情。
白髪、抜け毛、ハリ・コシ減、乾燥、ツヤがなくなる、うねり・ハネなどのトラブルが一気に噴出するお年頃です。
そう、私もうねり問題に悩まされるひとり。

先日、行きつけの美容院で「うち、今月創業27周年なんですよ。ライチさん、開店直後から通ってくださってますね」と言われました。
ひえー。いつの間にか四半世紀をゆうに超えていましたか。

私が最初に勤めたのは小さな出版社。同じビルにこの美容院があったのが、通い始めたきっかけです。その会社を辞めた後も、美容師さんの人柄と、神楽坂の風情あるロケーションが好きで常連を続けていました。
意外と由緒正しいお店で、オーナー美容師さんは三代続く同業。お父さんとおばあさんは神楽坂芸者の髪結さんだったそう。

そんなわけで、私の髪質の変化も私以上に知っているだろう、長い付き合いのオーナー店長さんに「このうねり、やっぱり老化ですかね?」と聞いてみました。
さすが接客業のベテラン。老化とは言わずにぼやかします。

「うーん、どうしても髪にたんぱく質が少なくなるので、細ってうねりやすくなりますね。紫外線で傷むのもあります。また、分け目や生え際をご自宅でリタッチされる時、白い部分以外にカラーリング剤をつけると痛むので、なるべくつけないようにしてください」
白髪とさえ言わないプロ根性、お見事です。

私はもともとやや波打っているくせっ毛ではあったんですが、ここ2年ほどでさらに急激にうねりが悪化。特にひどい頭頂部の髪はまるでシモの毛さながらにちりちりです。
湿度の高い梅雨時は、どんなにブローしてもすぐ、楽聖ベートーヴェンさんのような荒々しいヘアスタイルに。
これから人と会う予定のある出先のトイレで、爆発した髪を押さえながら、もう帰りたい〜!と何度思ったことでしょうか。

とりあえず家でできることはいろいろ試しました。
シャンプー時には頭皮マッサージブラシ。エイジングケア用のヘアパックや洗い流さないトリートメント、ヘアオイル。
どれも、やらないよりはましといったレベル(やらないと本当にひどい)。
ヘアアイロンはかなりまっすぐな印象になり、即効性がすごい!湿気のない日だけは、まずまずの気分で過ごせます。

髪のおそろしいところは、後ろからも見られてしまうこと。
人の顔をじっと見続ければ相手に気づかれますが、後頭部は無防備。
電車ですぐ後ろの人に

この人、髪がババアだな〜

と思われているかもしれないわけです。
同年代でも髪がサラサラツヤツヤな方は、後ろ姿さえも若々しくスタイリッシュでうらやましい。

せめてちりちりの毛を少しでも短く、ショートカットにできたらいいんですが、私は襟足が富士山の裾野みたいに広がっているんですよね。剃り跡が青々としてしまい、みっともないことになります。
ショートカットが似合う、シュッと裾すぼまりの美しいうなじに生まれたかった…。
今のあご先レングスのボブは、消去法の末の妥協の産物なのです。

私は30代から白髪も多く、そちらも悩みのひとつ。ただ最近はあえて染めないナチュラルスタイル=グレイヘアが話題ですよね。
近藤サトさんも手塚理美さんも、堂々としていてカッコいい!
自分がグレイにする度胸はなくっても、こういう華やかな方々の存在は心を強くしてくれます。

さて、美容師さんが挙げていた老化の原因、ひとつは紫外線。
この2年、コロナで外出を控えているのにそれはないんじゃないかなー。
疑問に思いつつも、考えてみれば縮れているのは表面の髪だけで、下半分の髪はわりとまっすぐだったりします。
今まで生きてきた50年の紫外線の蓄積、あるかもしれない。
縮れ毛の断面は円ではなく楕円形にゆがんでいるんです。それは毛を作っている細胞がダメージを受けたせいかも。

ネットで検索していたら「外的因子が毛髪構成要素に及ぼす影響」なる、2020年の論文に行き当たりました。
難しい化学式や実験データはとばして本文をざっくり読んだところ、髪の老化の原因として、紫外線の影響がしっかりと証明されていました!
いっぽうで、うねりの直接的な原因はまだ特定できていないよう。
とはいえ、こうして科学的に調べてくれる研究者がいることは心強い。

そして原因として個人的に疑っているのは、更年期でエストロゲン分泌が減った影響です。
エストロゲンの効果の中には、「コラーゲン産生を促し、肌や髪のうるおいを保つ」というものがあるからです。
私はホルモン量の検査をしていないのでもちろん憶測でしかありませんが、ここ2年で急に、というのがクサい。
もしもHRT(ホルモン補充療法)をしたら髪質もよくなるかしら…と思いつつ、私は生活に支障をきたすほどの更年期症状がありません。HRTはかなり重い更年期症状に苦しむかたのための治療なので、そんな目的で受けるなんて、できるわけないですね。

西岡先生からのコメント
シミ、シワ、白髪、薄毛は、加齢が原因で起こりますが、同時にエストロゲンの低下とも関係があると考えられています。順天堂大学の植木理恵先生らの研究によると、エクオールを産生する能力の低いグループでは、閉経からの期間が経過した人ほど髪の密度が低く、細い毛髪(軟毛)の割合が高いという結果を示しています。
髪は生命にとって最重要なものではないため、健康状態が悪化したり栄養の不足が生じると、私たちの体は髪の毛よりも優先して生命を守ろうとします。その結果、脱毛や白髪が引き起こされるのです。髪の健康を保つには、まず体の健康を維持・向上させることが大切です。
少し前の時代まで、美容は健康に比べて軽視されてきました。しかし、容姿は女性自身の精神状態や生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼします。心の健康が体を若々しく保つことがありますし、一方で体の健康や美容の悩みが心に負担をかけることも珍しくありません。特に、人生100 年時代となりつつある今は、いつまでも美しく健康でいたいという思いをもつ女性が増えてきていますし、私もそうでありたいと思う女性の一人です。
参考:<日本美容皮膚科学会雑誌 Aesthetic Dermatology Vol30.8-17,2020.
閉経後女性における毛髪とエクオール産生能の関係に関する観察研究>

ともかく、ホームケアには限界を感じているこの頃。
ならば髪に栄養を補給し頭皮を活性化する、集中トリートメントができるサロンはないものか。
メイクアップレッスンの時と同じように、またもやビューティ系サイトをさまよう日々がはじまりました。

チーム完熟・ライチ(ライター)

「チーム完熟」のクールダウン担当、通称・師匠。1971年生まれ。雑誌編集を経て1997年からコピーライター。既婚・子なし・別居中。2018年から認知症の実母の保護者となり、2020年に看取る。コロナ禍でのもっかのマイブームはプロ将棋観戦。
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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