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毎日忙しく、疲れもたまりがちなメノ活世代。「運動した方がいいのはわかってるけど、これ以上がんばれないよ~」っていうのが正直な気持ちでは?
がんばらなくてもいい、気持ちいいレベルのゆるーいトレーニング&ストレッチ<メノトレ>は、今日のからだを快適に、明日のからだをもっと元気にするコツをお伝えします!
前回の睡眠企画ではどうやったらスッと眠りに入りやすいかを取り上げましたが、今回は基本に立ち返り、意外と知らない睡眠の実態と、男女ともに更年期世代に増えてくるという中途覚醒を防ぐコツをお伝えします。
まず、あなたの睡眠の質を確認しておきましょう。
日本人は先進国のなかでも睡眠時間が少なく、諸国の睡眠時間が8時間28分のところ、7時間22分と、1時間も少なくなっています。(※1)
とりわけ日本女性の平均睡眠時間は日本男性に比べて短いことも報告されていて(※2)、特に家事、子育て、介護のある更年期世代は「世界で最も眠れていないクラスタ」といっても過言ではありません。そう、私たちには睡眠が必要なのです。では早めに布団に入ればよいかといえば、そう単純な話でもありません。十分な「睡眠時間」と同じくらい「睡眠の質」が重要だからです。
ここで質問。あなたは「日中、眠いと」感じるでしょうか。
昼過ぎや昼食後にある程度の眠気を感じることは自然なことですが、それ以外に強い眠気におそわれる場合には睡眠不足の可能性があるため、夜の睡眠を見直してみるといいかもしれません。夜間に必要な睡眠時間を確保できなかった場合には、「パワーナップ」といって20分以内の軽いお昼寝をすることで、その後の作業能率改善を改善できる可能性があります。
その人に必要な睡眠時間は、年齢を重ねるごとに自然と浅く短くなっていきます。若い頃は半日連続で眠れたような人も、高齢になると朝早い時間に目がさめてしまったり、夜中に何度か目がさめてしまう中途覚醒も目立ってきます。(※1・3)
そして、更年期女性の約半数が、不眠症状を訴えているといいます。その原因は女性ホルモンが減退することで睡眠時にのぼせ・発汗・動悸などが起こり、それがひきがねとなって深い睡眠を妨げているからだと推測されています。
これらをふまえた快眠対策のコツとして、厚生労働省の「睡眠12箇条」がありますが(※4)、更年期に向き合うカンテラとしては特に気を付けたい 5つをピックアップ! 「カンテラ快眠5箇条」にまとめてみました。
――― カンテラ快眠5箇条 ―――
①日中に軽度の疲労感を感じるウォーキングなどの運動をする
眠る2~3時間前までに、少し汗ばむ程度の運動を10分程でOK。
②全身の緊張をほぐし、自律神経のバランスを整えてから眠りにつく
筋肉の緊張が取れると、身体と床の接地面が広くなり、自重が分散してリラックスして眠りやすくなります。また、呼吸やストレッチで自律神経を整えておき、ホットフラッシュやほてりなどを防いでおきたいところ。次回はその自律神経を整えるストレッチをご紹介しますね!
③眠気が起こる前に布団に入らない
定時に床に入っても眠れない時間を過ごしてしまうと、かえって緊張を高め、眠りへの移行を妨げます。羊を数えてはいけません。必要以上に長く寝床で過ごしていると、徐々に眠りが浅くなり、夜中に目覚めやすくなります。「眠くなったら布団に入って、決まった時間に起きる」を心がけることで、睡眠リズムを整えていきましょう。
④中途覚醒したときは、時計を見ない
「あ、また1時半だ」などと、時刻を記憶してしまうとかえってその時間に起きやすくなるのだとか。途中で起きてしまっても、時間を気にせず、リラックスすることを心がけてください。(※4-3)
⑤朝起きたら、太陽の光を浴びる
朝の一定時刻に起床し、太陽光を取り入れることで、入眠時刻は徐々に安定していきます。健康成人を対象にした観察研究では、起床後、太陽の光を浴び、体内時計のリズムがリセットされてから15〜16時間後に眠気が出現することが示されています。※4-3-1(さらにvol.32メノトレへ)
※ご自分の睡眠状態に疑問や不安を感じたら、かかりつけ医や医療機関へのご相談をご検討ください
ちなみにわたくしマンゴーは、ここ数年の体調不良から21時半に床に入り、6時に起きるという9時間半睡眠の生活を続けていましたが、日中倦怠感とあくびが付きまとってグダグダ、お昼寝もしていました。ところが上記の良質な睡眠のコツを知り、「日中歩く」「眠気のビッグウェーブが来たら寝る」に切り替えたところ、8時間半睡眠でもスッキリ活動できる日が増えました!長く寝ればいいってものじゃないのですね。
そして、「眠れない時に羊を数える」という謎のおまじないは、英語圏由来のよう。羊は英語でSheep(シープ)と発音しますが、それが眠りを表すSleep(スリープ)と似ていてSheepとつぶやくときに息を吐くのでリラックスできるから、のどかな牧場を思い浮かべられるから、という理由からのようです。んー、日本語の「ひつじ」では当てはまらないようですね。
さて、快眠のコツはあくまで一般的な指針です。ご自分のライフスタイルや体調に合わせて、できることから試してくださいね。みなさまの眠りの時間が、深く充実した時間となりますように!
※1 厚生労働省 知っているようで知らない睡眠のこと
http://e-kennet.mhlw.go.jp/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/guide-sleep.pdf?1693267200104
※2 厚生労働省e-ヘルスケアネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html
NHK 2020年調査国民生活時間調査
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-jikan/column/sleep-2020.html
※3 朝日新聞 Reライフne
https://www.asahi.com/relife/article/14716939
厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-004.html
※4 厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-062.html
4-2
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html
4-3 厚生労働省健康局 健康づくりのための睡眠指針2014
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
4-3-1
清水徹男. 睡眠障害の心身への影響. 日本臨牀 2013;71(suppl 5):51-56 P63
監修:理学療法士 浜野 久美子