チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!
前回までのお話。
10年以上悩まされている手のかゆみ(主婦湿疹)の原因が、銀歯による金属アレルギーではないかという疑いから、「緊急SOS! 口の中の銀歯ぜんぶ抜く大作戦」を決行することに。
しかしながら複数の銀歯をジルコニア、もしくは金に変えるには、それ相応の資金が必要だったのです……。
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「愛しいマスカット、僕のカードで銀歯をぜんぶジルコニアにしちゃいなよ!」
なんてうまい話があるはずもなく……。
慰謝料も養育費もゼロのシングルマザーの家計は火の車でしたが、副業をはじめ少しばかり黒字に転じていた部分がありました。
今回、これをすべて歯に突っ込む覚悟を決めたわけです。
もう必死ですよ。
ネットで調べまくって良さそうな歯科医院を探しました。そして見積もりをくれと頼むのですが、どこも「実際に歯を診てみないとはっきりした額は言えない」とのこと。
そりゃそうだなと思いつつも、恐ろしいシステムに震えました。
それって「時価」メニューのみの寿司屋の暖簾をくぐるようなものじゃないか。入ってから値段を聞いて「やっぱりいいです」って言いにくいし、めんどくさいし。なんなら座っただけでお金取られるんじゃないかっていう。
あぁもう考えただけで気が重い……。
でも背に腹はかえられないと決めたんだ……。
そんな時に見つけたのが、銀歯をまとめて交換してくれるという専門の審美歯科の会社でした。歯医者さんに直に申し込むのではなく、その会社と契約して、提携の歯医者さんで施術を受ければいいというもの。
ラッキーなことに見つけたその会社は、創立何周年かの記念として人数限定でめちゃくちゃディスカウントしていたのです。
提携している歯医者さん側に問題がなければ、この会社が提供するジルコニアや金の詰め物の質も悪くないはず。
調べたところ、提携している歯医者さんの1つは住んでいる区内にあり、口コミも上々ではありませんか。
よし!まずは見積もりをお願いしてみよう!
その当時の実際に返ってきた見積もりメールがこちら。
<簡易見積書>
・基本技術料 一律価格25,000円
・IPS e-maxインレー(キャンペーン価格) 39,000円×7本=273,000円
・ジルコニア単冠(キャンペーン価格) 42,000円×2本=84,000円
・仮歯 2,000円×2本=4,000円
◇上記合計 386,000円
インレーが詰め物のタイプ、単冠が覆い被せるタイプのものです。
その他、歯を補強するための土台(コア)が必要な場合は別途10,000円かかってまいります。
歯石除去や虫歯治療などの保険治療が発生した場合は、別途医院よりご請求がございます。
詳しい費用等につきましては、口腔内の検査が必要となるため初回カウンセリングにてご案内させていただいております。
カウンセリングではレントゲン撮影等の検査を行う関係で、保険証をお持ちいただいて3,500円程度ご負担いただいておりますが、宜しければご検討ください。
所要時間は1時間程度となっております。
やっぱり「詳しい費用等につきましては」だよ!
てゆーか、そもそもこの交換すべき私の歯の本数!
可視化して改めて最悪じゃん……ってがっかりしましたが、それはさておき。
なんとなく安い、気がする……。
いや、高いんだけど、覚悟していたよりはずっと安い、気がする……。
他と比べるとどことなく安い、気がする……。
もしやキャンペーンの文字に踊らされてる?
でも他社(他医院)と比べると、
本数に関係なく、基本技術料 一律価格25,000円は魅力的。
「歯を補強するための土台(コア)が必要な場合は別途10,000円」
で数万円は上乗せになるとしても50万円あればなんとかいけるじゃん?
これなら借金したり、一部銀歯を残さず全取っ替えできそう……。
というわけで、やると決めたらやる女。
初回カウンセリングを予約しました。
提携の歯科医院は我が家から30分ほどの距離。
オフィス街にあるので気取った感じかと思いきや、
同じくらいの年代と思われる男性の院長は、
腕は良さそうだけど、なんとなーく柔らかな雰囲気。
まぁ若干「でも、お高いんでしょ?」みたいな気配はあるものの、
極度に緊張する雰囲気ではありませんでした。
この日のカウンセリングには審美歯科会社の社員さんが同席して、
院長の診療の計画や、歯の写真、レントゲン等をもとにその場で見積もりを出してくれました。
その額、406,000円。
メールでもらった簡易見積もりは386,000円だったので、
上振れはしているものの差額は2万円。
まぁ覚悟した範囲内です。
毎回別途治療費でいくばくかの金額を歯医者さんに支払う必要があることを考えると、予算の50万円ギリギリのように思いましたが、もう後には引けません。他で圧倒的に安くなることもなさそうだし。
まさに「着席までした寿司屋で食べずに帰るとは言えない」状態。
ただ。
この期に及んで迷ったのは、こんなにお金をかけるというのに、ジルコニアの歯は一生ものではないという点です。
耐久性はあるというものの、虫歯になれば取り外して治療が必要になるため同じものを詰め直すわけにもいかないとのこと。
マスカット「交換したら、何年くらい持ちますかね……」
審美歯科担当者「ケースバイケースなのでなんとも言えませんが、
平均耐久年数は10年から15年程度と言われています」
10年、か……。
それまでに羽振りが良くなってたらいいな……。
主婦湿疹が治らなければ、次は銀歯に戻しちゃってもいいし……。
若干のざわつきを抱きつつも契約書にサインし、カード払いを声高らかに宣言したのでした。
ふと振り返れば40数年生きてきて、自分の財布でこれより高い買い物をしたことがない。
離婚後に自らを鼓舞すべく購入したティファニーの指輪も、40万は超えてない……。
はぁ……、歯って大事だな……。
芸能人じゃなくても「歯は命」です。
って、ここまで読んでくださっている読者さんの中には、
この審美歯科のタイアップ記事ではないかと思われる方もいるかもしれません。
そんなことはありません。
この審美歯科の会社、すでに潰れています。
それが後日別の影響を及ぼすことになるのですが……。
この日から約半年以上におよぶ「口の中の銀歯ぜんぶ抜く大作戦」が始まりました。そして迎えた治療初日、歯医者さんから思いも寄らない新提案を受けたのです。
院長「インプラントにしますか?」
マスカット「えっ?」
インプラントって入れ歯のおじいちゃんおばあちゃんのやつでしょ?
っていうか、手術してボルトいれて人工の歯を取り付けるやつでしょ?
しかもまためちゃくちゃ高いやつ!
大枚はたいて、機械の身体を手に入れるなんて、ないないない!
っていうか、大枚すでにはたいちゃってるし!
と思いきや……。
次回に続きます。