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「しこり」と「甲状腺」でひっかかり、秒で恋した健康診断。マンゴーvol.15

完熟マンゴーさんが恋に堕ちたドクターイメージ

チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!


今年もスッキリしない夏ですが、みなさまおかわりありませんか?
私の倦怠感はいったい何からきているのか。原因が10以上思い当たるので、考えるのをやめたマンゴーです。

さて前回は……1回で済むはずだったところ、生理周期の乱れや私のうっかりミスで3回に分けられてしまった健康診断シリーズが始まりました。
今回でようやく3回目の健診です。

これまで受けた検査項目は、乳がん、肝炎ウィルス、肺がん・結核検診、子宮頸がん・体がん、大腸がん。
今回は、恐怖の胃がん健診と基礎健診(問診・診察、身体計測、血圧測定、血液検査、尿検査、心電図検査)の項目です。


この日はまたもや猛暑につき、タクシーにていつもの健診専門のクリニックへ到着したマンゴー。課金も板につき、気分は「まな板の上の鯉」です。胃がん検査に胃カメラを選択してしまったときから覚悟はしていました。きっと私は今日、涙と唾液と鼻水まみれになりながら、「おげえぇ」と反射嘔吐をくりかえして燃え尽きることでしょう。

また、再び月経周期と重なってもいました。
でも尿検査だけのために4度も日程をズラす体力はありません。受付の方に「正しく計測できないかもしれませんが……」と言われ、その可能性に同意しながら、経血が入らないよう採尿したのでありました。

なんだか今日はボロボロだぜ……そう思っていたのですが人生とは数奇なもの。


私は一瞬で恋に墜ちたのですから。


胃がん健診のあと、灰になったマンゴーが「早く帰りたい」と診察のドアを開けたとき。
運命もまた開かれたのです。


医師「はい、マンゴー(本名)さんね……なんで『人参養栄湯』を飲んでいるの?」
おそらく身長が高いせいでしょう。ひじ掛けイスから脚を余らせながら50代半ばと思われる男性医師からよく通る低い声でこう尋ねられました。

『人参養栄湯』とは、コロナとコロナワクチン以降、倦怠感と息切れがひどくて耳鼻科で処方してもらった漢方です。マンゴーはいまだに手放せません。

マンゴー「コロナとワクチン後、倦怠感がひどくて……」

医師「なるほどね…… ん? あなた乳がんの精密検査はやってきたの? 」

マンゴー「へ? えーと……健診は…ここでは?(事態がのみこめない)」

男性医師「……もしかしてまだ結果を知らない? (その場にいた事務員らしき方に向かって)あのさあ、だからオレは日頃から言ってるんだよ。結果はすぐ患者に知らせろって……」


というわけで、いきなり不穏です。
どうやら1回目に行った乳がんの触診とマンモグラフィーの結果がすでに出ており、マンゴーの左胸にしこりが見つかっていたようです。


思い起こせば3週間前。
触診をしてくれた女性医師はこうおっしゃっていました。
「左胸にしこりがありますが、痛みがあるのでおそらく腫瘍ではないでしょう。気になるようなら、専門医に見てもらってください」と。

そのときマンモグラフィーの結果は出ていなかったので、まあそんなもんですかと思っていたのだけど……違うのか?

男性医師「あのね、正直言うと今は乳がん検診の”触診”に重きをおいてないんだよ。」

マンゴー「ほう」

男性医師「マンモグラフィーでひっかかったのも左胸か……はい、ちょっと胸はだけて」


え、触診に重きを置いてないのでは?
と思いつつ言う通りにするマンゴーです。

たびたび思うのですが、健診とはいえですね、会って3秒の人に乳を触られるってなかなかない光景ではないでしょうか。医療者の技量に性別は関係ないにしても、男性医師だとほんの少し戸惑う自分がいるのです。

医師「おいおい、肩に力が入ってたらだめだろう、はいリラックスして~」
ポンポンと肩を叩かれます。なんだかこの医師、S気があるというかオラオラ系というか……。

マンゴー「はあ……」
どこかで見たような気がします。

医師「ああ、きっとこれのことだな」
以前よりゴリゴリしていないものの、やはり少々痛みを感じるしこりがありました。

医師「はい、オッケー。前回はどうだったか知らないけど、生理前は胸がカクカクしているから、しこりの様子も違ったんだろう。」

そう言いながら、医師は次に首元を触診します。

医師「……甲状腺が大きすぎる。これはしっかり調べた方がいい。今まで甲状腺ホルモンを調べたことはないだろ?」

ないだろう? いや、あるのです。
去年、産婦人科で更年期障害を疑った時に調べていただいて、問題なしだったことが。

医師「へえ……そのとき、抗体は調べた?」

抗体……?
マンゴー「たぶん、調べていないと思います」

医師「ああ、産婦人科だとそこまで調べないだろうな。甲状腺ホルモンが正常でも、抗体(※)がそうでない場合もある。甲状腺ホルモンに問題がなくてもまれに橋本病ということもあるから、精密検査を受けて安心した方がいい、な?」

な?

さっきからこの医師、がつがつ踏み込んでくるんですけど。
ちょっと、尊大というか、なんというか……、
好き……。


医師「悪いが今回、市へは『要検査』で出させてもらう。これを機会にしっかり調べて、甲状腺の原因もみておこう。」
親身な言葉と一緒に出た笑顔(マスクから出ている目)を見て、マンゴーは完全に堕ちました。
いつも出てくる「心のチビマンゴー」たちもささやきます。

(強気マンゴー:我ながら、ちょろいね~w)
(弱気マンゴー:今は説明をしっかり聞くときだよ!しっかりして~)

マンゴー「え、あ、はい……でもどこを受診すればいいのでしょうか。」

医師「乳腺外来。しこりも甲状腺も両方診てもらえるから。どこに住んでるの?」
もしや、ナンパでしょうか? 

マンゴー「えーと、○○区△△町の……」

医師「そのあたりなら、たくさんあるだろう。乳腺外来を標ぼうしているところなら、どこでも大丈夫だから。」
ナンパではなく、職務でした。


マンゴーは御礼を言い、診察室を出ようとしたのですが、チビマンゴーがささやくのです。
(強気マンゴー:おいおい、オマエはこれでいいのか?)

いや、良くない。
私は振り向くと、こう問いかけていたのです。

「先生は、どちらの病院にいらっしゃるのですか……?」


医師「え、オレ? オレ、ここ(笑)。」

マンゴー「それは、知ってます。」

医師「ああ、ごめんな~、オレ外来もってないんだよ。なんで?」

なんでってアナタ……!
あたしの心を乱しておいて!

マンゴー「ここまで詳しく説明してくださったので、先生だったら話が早いかと思って……」
好きになったから、とはさすがに言えませんでした。

事務員「そうですよねー、分かりますー!」
なんと、これまでやりとりを聞いていた事務の方から突然同調の船が出ました。乗らないワケには参りません。

マンゴー「残念ですー!(会えないなんて!)またイチから話さなきゃならないんですね……」

事務員「そうですよねぇ、先生が診てくだされば早いのに!」

医師「ははは、オレ外科だけど、本当は乳腺外来の専門医なのよ。診てあげたいけど、ごめんな~(笑)」

マンゴー「残念ですー!(恋心が)」

事務員「ですよねー!」

ここでマンゴーは思いました。
事務員さん、さてはあなたにとってもこちらの先生は「推し」なのでは?
私たち、2秒で分かり合えましたね、なんだかうれしい。



「ごめんな(笑)」……。
というわけで、私はあっさりとフラれましたが、せめてお名前を知りたいのです……さっきからバッジを探しているのですが意図的にしていないのでしょうか、見当たらないんですよね。
お姿とお声に既視感があったのでこれから『マシンガンダンディー』とお呼びすることにして、私は「しこり」と「トキメキ」を胸に抱き、病院をあとにしました。

さよならマシンガンダンディー、私の心を撃ちぬいたひと。


---THE END---


じゃないよ、乳腺外来を予約しなくては。
さっそくかかりつけの乳腺外来へ連絡し、たまたまキャンセルされたという一週間後の枠におさまりました。
どうなるかハラハラしますが、じっくり調べていただきましょう!


こうしてまた、マンゴーの精密検査の旅が再び幕をあけることになったのです。
やれやれだわ。

---To Be Continued---


マンゴー:レベル42.8
惚れた人:マシンガンダンディー(『ひょっこりひょうたん島』より)。要検査を伝える用紙の医師欄にお名前が掲載されていることを後ほど発見。イニシャルはK!
状態:大きな甲状腺、しこり、トキメキを抱いて、2022年、晩夏。


(※)抗体
抗サイログロブリン抗体、抗TPO抗体(抗甲状腺ペルオキシターゼ抗体)


チーム完熟・マンゴー(ライター)

「チーム完熟」の下っぱ特攻隊長。厄年以上、更年期未満の1979年生まれ。フリーランスコピーライター / 唎酒師 / 2児の母 / 2021年5月に離婚。2020年末あたりから謎のめまいが頻発し、その原因を突き止めるべく病院をめぐる。2021年現在のストレス点数は685点(※300点以上で翌年に健康障害が生じる危険性80% 出典:夏目誠・大阪樟蔭女子大学教授提供より)。
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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