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パーソナルカラー診断は、新たなパーソナリティに向き合うきっかけだった。「50歳のうぬぼれ鏡」Vol.22

闘牛士のようなカラリストさんの布さばきに驚く完熟ライチさん

チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!


前回に引き続きまして、パーソナルカラー診断後編です。


ドレープと呼ばれるカラフルな布を肩にかぶせて、顔映りを見る。診断のメインといえるプロセスで、私もこれをいちばん楽しみにしていました。

まず、顔色をちゃんと見るためにマスクは外します。次に、白いケープをかぶって顔回りの余計な色を消します。私はハイネックの黒いセーターを着ていたのですが、本当はハイネックは避けたほうがよかったようです。
テーブルの上にドサッと積まれたドレープの束から、マキコさん(担当のパーソナルカラリスト)は何枚かを手に取りました。


マキコ「まずは、ピンクから当ててみましょう。スプリングはいちごミルクみたいな白っぽいピンクですね。サマーはもう少しはっきりしたピンク。…」
マキコさんは微妙にトーンの異なる4枚のピンクを私の肩に掛けると、上から1枚1枚、布をめくります。そのアクションが予想外に激しい。まるでスペインの闘牛士のようにバッ!バッ!と瞬時に布をひるがえすのです。このスピード感は資格をとるのに必須なのか?私はマキコさんの動きが気になって色の印象が頭に入ってきません。

「スプリング!サマー!スプリング!サマー!いかがですか?」
ビシビシと布をめくったり戻したりしながらマキコさんが尋ねます。
ライチ「すみません…よくわからないです…」
私は普段ピンクを全く着ないので、どれもこれもしっくり来ない。似合わない気がしてなりません。
マキコさんも心なしか、目つきが険しくなり考えこんでいます。
「うーん、ライチさんはピンク系があまり得意じゃないようです。シーズンを変えても差がわかりづらいですね。じゃあ、次はグリーン行ってみましょう」
色が似合うことを「得意」と言うとは知らなかった。どの業界にも独特の用語がありますね。


次は4種類のグリーン。それぞれ寿司に挟まっているニセの葉っぱのような鮮やかなグリーン、爽やかなミントグリーン、くすんだオリーブグリーン、クリスマスツリーのような深いグリーンです。
マキコさんが再び闘牛士アクションを始めると、不思議なことが起こりました!がらっと変わるのです。私の顔色が。
つまり、私の顔が茶色くなったり白くなったりする。まるで茶色のフィルターをかけたり、はずしたりしてるみたい。色が変わっているのは顔じゃなくその下のドレープなのに。手品みたい。

「えっえっ、なんで、なんでですか?おもしろ〜い」
鏡の中の私はエキサイトした表情。マキコさんも嬉しいのか、華麗なドレープさばきを繰り返してくれます。
「うん、グリーンはわかりやすいですね!ライチさんはおそらくファーストシーズンがサマー、セカンドシーズンがウィンターです。他のカラーもどんどん見ていきましょう!」
パーソナルカラーには第1と第2があるのだそう。ひとつだけと決めつけないのは少し幅があっていいような気がします。


こんな調子で次々といろんなカラーを試します。イエロー系を当ててみた時、山吹色が全然似合わなかったので、
“愛は地球を救う”のTシャツの色ですね。芸能人でも着るのは難しいなと思ってました」と言ったら、マキコさんはそんな昔のチャリティTV番組は知らなかったらしくスルーされました。うっかり気が緩んで世代限定ネタをかまさないように注意です。


私がもともとよく着るブルー系は「4色、どれもいけますね!特にネイビーがぴったりです」とのこと。マキコさんは「これですよ、これ!」とテンションが上がっていましたが、私からすると見飽きた感すらある色。意外性も新鮮さもなく、(まあ、似合うと思ってたのが勘違いじゃなくてよかったな…)と静かに安堵するのみ。


ブラウン系を当てた時は再びマキコさんの眉間にかすかにシワが寄り、厳しい目になりました。「ブラウンは…どれもちょっと…。特にこのくすんだグリーン系は最悪ですね。ほら!ほら!」似合わない色の時もマキコさんの布さばきがビシビシと冴えます。あれっ、私この色のダウンジャケット持ってたじゃん。そっか、捨てよう。


自分的にいちばん意外だったのは赤です。いかにも顔が負けそうな華やかなローズレッドが、当てると案外さまになっていて、デヴィ夫人のような主役級のオーラまで感じられます。いつかパーリーがあったらこの色を着たい!と、ない夢を見てしまいました。現実的に真っ赤なドレスは難しくても、小物やポイントカラーとしてなら取り入れられそう。


無難な色として安易に買いがちなベージュやグレー、そして白も、帯びた色みによって顔映りはかなり変わりました。こういうあいまいな色こそ、プロのアドバイスの効果は実感できそう。


私とマキコさんの意見が割れた色もありました。それはパープル系。
「ライチさんエレガントだからすごくおすすめです!ほら、いいでしょう?」
いかにもマダムっぽいラベンダー色を、やけに推してくるのです。私は「エレガント?エレ…ガント…?」と言葉の意味がよくわからない人になっていました。この色が放つしとやかさや女らしさ、優美さが、ガサツな自分とはかけ離れていて、違和感がありました。
しかし、もしかすると私がなりたかった「優しそうで上品なマダム」の鍵はラベンダーなのでは?


すべてのカラーを試し終わり、晴れて私のパーソナルカラーは、ファーストがサマー、セカンドがウィンターと決定。いずれもブルーベース(青系統)となり、ざっくりいうとサマーが明るめ、ウィンターが濃いめ。濃い色を着た方が対比で顔が明るく見えると思い込んでいましたが、さにあらず。サマーの明るいカラーグループが私にはいちばん合っていました。
そして、奇しくもチーム完熟の4人は全員が違う季節となりました。みんな個性バラバラだな〜と普段から感じていたのが、カラー診断でも実証された格好です。

次に、メイクアップのアドバイス。アイメイクはアイシャドウベースを塗った上にベージュとくすんだパープル(写真のパレットの左側)、リップはやや青みのローズピンク、チークは明るい青みピンクと、いかにもブルーベースらしいチョイスになりました。
青みピンクのリップと聞くと、バブル期に流行したサンローランのフューシャピンクを思い出す世代としては、古い顔になってしまうのでは?と身構えましたが、さすがプロのおすすめ。ベージュミックスなので、肌になじんで自然です。
カラリストさんはある程度専門的なメイクの知識はありつつも、メイクアップアーティストではないので、アドバイスを受けながらのセルフメイクです。コスメは特定のメーカーに偏っておらず、デパートでよく見るいろいろなメーカーなのが好印象。

最後に、今回のベストカラーと一緒に記念撮影です。ずらし重ねたドレープを掛けた私を、マキコさんがスマホでパシャパシャ撮ってくれます。
この時、悲しいことが起こりました。笑顔のマキコさんからスマホを受け取った私は思わず硬直。うわっ、知ってたけど老けたな私。
大きな窓から入る明るい陽射しは、同時に濃い影もつくる。スマホのカメラが容赦なく、私の顔のたるみやシワまでも、まさに白日のもとにさらしてしまったんです。

しかし、このショック療法のおかげで理解しました。マキコさんが繰り返し言う「エレガント」は、「年齢を重ねた素敵」の意味で使っているんではないのか。つまり、しとやかとか女らしいとか、性格には特に関係なく、メノポーズ世代のルックスへの褒め言葉なのだと。

人の性格は年をとってもあまり変わりませんが、容貌は老化していく。見た目の変化を自分の内面に反映し、キャラクターの一部として取り入れていった方が、人付き合いをする上でも何かとスムーズになりそうです。
私が客観的にみて「エレガント」の要素を持っているなら、それに合わせて今後の服装など変えていこうかなという気持ちになりました。手始めに、この春はラベンダー色の服にトライしてみようと思います。


私の友人・知人はどうしても過去からの連続した印象で私を見ますが、初対面のカラリストさんは、52歳の私しか知りません。フラットな目で「あなたはこう見える。これが似合います」と言ってもらえるわけです。パーソナルカラーが分かったことはもちろん、現在の自分の印象を言葉にしてもらえたのは大きな収穫でした。

ウェブサイトなどでの簡易な診断では物足りない人、もっと徹底的に自分を客観視したい人には、カラリストさんと対面の診断、おすすめです!

チーム完熟・ライチ(ライター)

「チーム完熟」のクールダウン担当、通称・師匠。1971年生まれ。雑誌編集を経て1997年からコピーライター。既婚・子なし・別居中。2018年から認知症の実母の保護者となり、2020年に看取る。コロナ禍でのもっかのマイブームはプロ将棋観戦。
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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