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意外な盲点?強度近視+老眼にベストアンサーが見つかった!「50歳のうぬぼれ鏡」Vol.27

メガネのレンズでからだのバランスが変わる完熟ライチさん

チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!


東京・高円寺の「ツバメヤ眼鏡店」さんで老眼や白内障のことなど、いろいろ伺った前回に続きます。


視力検査は、店主で眼鏡作製技能士の杉谷宗彦さんの担当。
さすが大ベテラン、手際が良い。大量に並ぶ検査用レンズから合ったものを迷わず選び出し、次々に交換して理想の見え方に近づけていきます。
検査用眼鏡をかけた状態で新聞やスマホなどを手にとって、近くに引き寄せたり、少し腕を伸ばして遠めにしてみたり。私の普段の行動を想定して、シミュレーションをおこないます。


はい、これでOKです!と思った矢先、
宗彦さん「よかったら、遠近両用を考えてみませんか?
予想外な言葉が出ました。
ライチ「両用とは…、つまり、この2つの眼鏡が1つになるってことですか?」
私の手持ちの遠方用、手元用を指さしながら尋ねると、
「そうです、そうです」
えっ。それっていちばん便利じゃないですか!もちろんあるのは知っていたけれど、なぜか自分がかけることは全く考えてませんでした。


テスト用レンズを組んだ眼鏡を掛けさせてもらいます。
かつて私の父が持っていた遠近両用眼鏡は、レンズの下の方に度数が切り替わる境目のラインがうっすら見えて、いかにもご年配っぽいアイテムというイメージがありました。
ところがこれは一見したところ、普通の眼鏡と同じで境目がありません。あれ、私のイメージって時代遅れ?
店内のいちばん遠い壁面と、手に持った新聞を見てみると、どちらも自然に見やすいと感じます。


遠近両用レンズは、一枚のレンズの上側に「遠くを見る用」の度を入れ、下側に「近くを見る用」の度を入れたもの。
外の景色などを見るときには視線を上げ、スマホや本など近くを見るときには自然に視線を落とすので、それで日常生活に不便はないとのこと。
通常の眼鏡のレンズが「単焦点レンズ」と呼ばれるのに対し、遠近両用のレンズは「累進レンズ」。遠方から近方にかけ、徐々に度数が変化するレンズです。


「ものを見るときは目だけ動かすのじゃなくて、顔を動かして見るのがコツといえばコツですね。それだけ気をつければ、近くも遠くもちゃんと見えますよ。かけて2、3日もすれば皆さん慣れます」
出先で、眼鏡の掛け替えをしなくていいのはすこぶる便利な気がしてきました。当初の予定は変更。今回は遠近両用(累進レンズ)を作ることに決定!


「ただ、お仕事でパソコンを見る時は、現在使われている単焦点の方がいいと思います。遠近両用はどうしても手元の見える範囲が狭くて、端がゆがんでしまうことがありますから」
「わかりました!仕事用は今の手持ちを使って、新しい眼鏡は外出用にします」


続いてレンズの屈折率と、保護コーティング加工を指定したあとは、いよいよフレーム選びです。
視力検査が済んだので、フレームを試着した顔を見るためコンタクトレンズを装着。ここからは眼鏡士・視能訓練士の杉谷ちさとさんがアドバイスをしてくださいます。

今持っている2つは、顔から浮かないようにと選んだピンクベージュ系のフレーム。これが加齢のせいか、なじみすぎてぼんやりした印象になってきたなーと感じていました。
「今より、少しはっきりした印象のフレームにしたいです。でも、太めで黒いフレームはちょっと主張しすぎで、自分的には違和感があって」
そんな相談をしてみると、ちさとさんはふたつのフレームを選んできました。

ひとつはべっこう風の、茶色の濃淡(画像手前)です。形はくせのないウェリントン。早速試着してみると、即「買います」と言いたくなるくらい似合っている!
濃淡なのがさすがのセレクトで、少し主張しながらも目立ちすぎず、ナチュラルな印象です。
「わぁ、私これすごく好きです!顔の形に合うし、好みにも合ってます」


もうひとつ(画像奥)は、形は似た感じのウェリントンですが、色が少し攻めていて、濃い紫色。はたしてどうなるのか。
「この色、派手かなと思ったのに意外となじみますね。かっこいい!サイドの飾りもおしゃれですね」
知的かつ少しセクシーな雰囲気が出て、なんだかちゃんとメイクしたような印象。
考えてみたら紫は、パーソナルカラー診断でもおすすめされていた色味でした。ぱっと合う色を見抜くちさとさんすごい。


どちらも良くて本気で迷う。こんなに幸せな悩みってある?
今回は日常使いの眼鏡を買いに来たので、そういう意味では紫のフレームはちょっとおしゃれ用かもしれません。そこで、最初にかけたべっこう風を選びました。


それにしてもちさとさんのお見立ては的確です。
いろんなフレームがたくさん陳列された店内で、たった2つだけかけて終わりなんてもったいない。他のデザインや、同じデザインの色違いもかけてみましたが、やっぱり最初のふたつが断然いいですね〜と再確認する結果に。
お風呂用眼鏡を購入したお店のようなセルフスタイルとは180度違う。私はこうして専門知識のある眼鏡士に、おすすめやアドバイスをもらって選びたいな。


「一般的に、メノポーズ世代の女性におすすめのデザインありますか?
ちさとさん「フォックスっていう、少し吊り目の形は、お顔がキュッと引き締まって若々しく見えます」
「あ、スネ夫のお母さんがかけている、ざあます眼鏡ですね!」
「そうですね(笑)漫画のようなきつめの形ではなくてもっとさりげないデザインもありますし、かけてみるとなじむ方が多いですよ」
眼鏡のデザイン、トレンドのお話は楽しかったです。今回は残念ながらスペースの都合で割愛。


こうして眼鏡のオーダーは順調に終了。
前回のコラムでも触れた、まだ扱っているお店の少ないユニークな商品「イノチグラス」の体験測定をさせてもらうことになりました。
ひとりひとりに合ったカラーレンズを眼鏡に使うことで、体のバランスを整える効果があるというもの。
遠近両用レンズには現在はまだ対応していないということで、今回購入の眼鏡は「イノチグラス」ではなく、色なしの通常のレンズになります。


どのカラーが私に合っているのか、調べる方法がおもしろいです!
ちさとさんが持ってきたのは、鮮やかな色の紙6枚。靴を脱いで片足立ちし、この紙を手に持って見ている状態で、肩を押してもらってグラつくかどうかを調べます。

黄、緑、グレー、黒、赤、青。
もともと体幹には自信があまりないので、どれも同じだろうなと思っていたら、明らかにグラつかない、しっかり踏ん張れる色がありました。緑と黄色です。不思議!

検査用眼鏡の左右にこのカラーのレンズを入れて、かけてみました。視界が薄く色づくことで少し世界が変わって、気持ちが落ち着くような感覚。既存のものにたとえるなら香りのようでもあり、静かな音楽のようでもあり。心身にいい影響があるというのも、わかる気がします。


イノチグラスの検査は、本来はもっと丁寧に時間をかけておこなうので、事前に予約が必要とのことです。検査をしたら必ず購入しなくちゃダメということはもちろんないので、心身に不調を感じていたり、興味があるという方はぜひ、問い合わせてみてはと思います。



1週間後。オーダーした眼鏡が完成したとのメールが届き、早速再訪問。
かけてみるとなんだかもうずっと前からかけていたようなハマり具合。嬉しい!
「いや〜わかってましたけど、やっぱり度が入っても似合いますね!」
笑みが止まらない私を見て、ちさとさんもにっこり。
最初のうちは足元の段差にだけ、気をつけてくださいね
試しにお店の入り口に行ってみると、10cmもないはずのステップが妙に高く見えて、ちょっと怖い。度数がグラデーションのように変化しているために起こってしまう現象なのですが、かけているうちに慣れてくるとのこと。


眼鏡を受け取ったついでに、ツバメヤ眼鏡店ならではの商品を伺いました。
「うちは高円寺阿波おどりにもう50年ほど参加しているんです。本場徳島に踊りを習いに行ったり、交流するなかで、何か徳島のものを商品に取り入れたくて、特産の藍で染めた眼鏡を始めました。徳島県以外で扱っているのはツバメヤだけですよ」


高円寺阿波おどりといえば、毎年100万人もの観客を集める大イベント。宗彦さんは名門「江戸っ子連」の会長で、ちさとさんも踊り手のひとりです。
新型コロナの影響で中断していたため、2023年は久しぶりの開催で気合が入っているとのこと。(取材は阿波おどり開催の少し前でした)
宗彦さんがかけている、存在感のあるフレームも藍染め。写真ではわかりにくいですが、黒ではなくて濃紺。少しすっきりしたニュアンスがあって洒脱です。

さらに、サービスで(?)レンズの加工まで見せていただきました。
メーカーから送られてきた円形のレンズを、フレームの形に合わせてカットするのは、眼鏡店で作業しているということを初めて知りました。
ダイヤモンドカッターという工具の魅惑の響き。メカや技術が大好きな私はエキサイトして見入っておりました。
画像は、レンズの中心をお客さんの目の位置とフレームに合わせる工程です。

お礼を伝え、新しい眼鏡でお店を出ます。来た時とは違い、高円寺の街並みがくっきりと目に飛び込んでくるのが楽しくて、猛暑なのについついひと駅歩いてしまいました。
今後、目が悪くなることはあっても良くなることはないメノポーズ世代。相談しやすい眼鏡屋さんを持っていると、非常に心強いものだと感じました。


取材協力:ツバメヤ眼鏡店

チーム完熟・ライチ(ライター)

「チーム完熟」のクールダウン担当、通称・師匠。1971年生まれ。雑誌編集を経て1997年からコピーライター。既婚・子なし・別居中。2018年から認知症の実母の保護者となり、2020年に看取る。コロナ禍でのもっかのマイブームはプロ将棋観戦。
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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