チーム完熟の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!
悪意なき言葉に砕ける硝子の更年期「閉経宣言」vol.3
みなさん、こんにちは。平成の終わりを自らの閉経宣言ですっ飛ばかして、令和に突入した完熟オレンジです。まさにHey!Kei!JUMP!(意味なし)。
さて、20年で25kg太ったことを公表しているオレンジです。
この体重増加がカラダに悪影響を及ぼしていることは明らかなので、「なんとかせねば」と奮闘する日々ですが、そんなオレンジのやる気のハートが粉々に砕けた一瞬がありました。
それは同級生男子(55歳w)に再会した時のことです。
彼は、私が友人(同級生男女3人)と食事をしているテーブルに偶然やってきて立ち話を始めたのです。私以外のみんなとはちょこちょこ会っていたようでしたが、私と会ったのはなんと30年ぶり!
年の割には太りもせず、男性が気にしているであろうポイント=毛髪もそこそこありました。年を取ると「変わらない」ことが何よりのアクティブポイントとなります。
彼がペラペラペラペラと、一方的に自分と自分の子どもの自慢話を披露するのを、大人なオレンジと友人たちはにこやかに聞いていました。
それから彼は友人たちと二言三言交わした後、「オレンジ、ほんま太ったな~!!」と最後っ屁を残して帰って行きました。あまりのことにオレンジ、お口あんぐり。
はぁぁぁぁぁぁ~ん?!
そりゃ、太りましたが、
30年ぶりのひと言がそれオンリー?
「いま何してるの?」「いまどこにいるの?」って聞いたら薬師丸ひろ子の歌みたいで、失礼にあたると思ったのか?
「ほんまに太った」のひと言だけの方が100万倍失礼じゃ! ふんがっ!
私たちは、毎週土曜の夜にドリフターズから「風呂入ったか?」「宿題すんだか?」って聞かれて素直にテレビに向かってこたえていた世代。
どんな質問でもおこたえしますよ!
個人情報なんてつい最近の概念なんですから!ぜぇ、ぜぇ。
何度も繰り返し「はぁぁぁぁぁぁ~ん?!」とは思いましたが、男性脳と女性脳は違うといいますし(これは差別ではありません)、彼は、ザ・男脳でコミュニケーションが苦手なのでしょう。
私を傷つけようという意図は(多分)なく、事実を言っているだけ。
一方、ザ・女脳のオレンジは、0.000000000001秒の間に上記のやりとりを自分の脳内ですませ、「そうなのよね~」と、苦笑いで受け流しました。
「太った?」に対して、「ハゲた?」と
言わなかった自分をほめてあげたい。
失礼を失礼で返しては人品を疑われますから。きりっ。
何もしなくていいので、わかってほしい。
ここで自分でも意外だったのが、今までの私だったら「太ったな」のひと言に、「言われなくてもわかってることを、なんでわざわざ言うんだろう」とプンスカした後に「ぐすん」となって、「ま、事実だしな」で終わりだったのが、今回、もうひとつの考えが浮かんだことです。(なになに?)
これは、ここカンテラでコラムを書かせていただくようになって「更年期とはなんぞや」と無意識のうちにいつも考えるようになったからだと思うのですが(はよ、結論を!)、それは・・・
「彼は自分の奥さんに対してもこの調子なのかな?」って素朴な疑問。
体重増加に関わらず、あらゆる更年期症状、つまり、若い時には見られなかった奥さんの変化、それも自分にとってマイナスと思われる事象について、ずけずけと、あっけらかんと言ってなきゃいいなって。
彼の言葉に奥さんがストレスを感じて症状が重くなっていたら、どうしてくれるんじゃ!
と、会ったこともない奥さんに思いを馳せたわけです。
体重に関しては、パートナーや第三者からの体重に関するネガティブな言及で過食に走る傾向があるとの研究結果もありますし(※1)。ほかの症状についても基本は同じなのでは、なんてオレンジは思うわけです。おもにメンタル面で。
私は本来の能天気が幸いしてか、禍してか、案外なんでも笑い飛ばす人生を渡ってきました。
でも、体重の増加で一時期会う人ごと(ほぼ男性)に「太った、太った」と言われたことは、チクチクチクと胸へと突き刺さっていたんだなーと振り返ってみて思います。
以降、相手から言われる前に「太っちゃって~」と自虐発言をするようになったのは、自分なりに自分のメンタルを守るための「やり過ごし方」だったかもしれません。我ながら、けなげ!(涙)
壊れそうなものばかり集めてしまうのが「ガラスの十代」ならば、
ひび割れたビー玉のような心が「硝子の少年」ならば、
折れないと見えて実は繊細なのが「硝子の更年期」なんですよ!
(よっ!ジャニーズ祭り!)
だから、全国のご主人方!いらないお世話ですけど、奥様への声がけについて、今一度、見直してみてほしいです。
「いらないことばかり言っていた」と気づいたら、今後は何も言わなくていいので、だまって花の一輪でも買ってきてください(皿洗いの方がいいかもですが)。
そして今回のお話は、ご主人だけじゃなく、オール人類と共有したいと強く思います。
更年期は当事者だけでなく、まわりの人たちにも影響を及ぼすから。
お母さんが急に怒りだすのも、彼女がすぐ泣くようになったのも、先輩がめまいで立ち上がれなくなっているのも、「本人の気力や努力ではどうしようもない更年期症状かもしれない」という考えに少しでも及んでくれたなら。それだけでいいです。
更年期症状に苦しんだり、とまどっている本人は、あなたに「どうにかして!」とお願いしたいんじゃないのです。
ただ、あなたが「わかってるよ、大丈夫だよ」って気持ちでいてくれるだけで、ずいぶんと救われるんじゃなかなぁって思うから。
そこんとこ、夜露死苦!
(*1)体重に関して。パートナーからの「ダイエットしたほうがいい」という言葉で過食に走る傾向がみられることがミネソタ大学の研究で報告されています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3899838/
英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの調査チームの調査結果と「ファットシェイミング」についての記事はこちらです。
https://www.womenshealthmag.com/jp/diet/a32738856/fat-shaming-20200610/