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毎日忙しく、疲れもたまりがちなメノ活世代。「運動した方がいいのはわかってるけど、これ以上がんばれないよ~」っていうのが正直な気持ちでは?
がんばらなくてもいい、気持ちいいレベルのゆるーいトレーニング&ストレッチ<メノトレ>は、今日のからだを快適に、明日のからだをもっと元気にするコツをお伝えします!
全国的に、気温は平年並みか高くなることが予想されている2022年の夏。みなさん、汗をかく準備はできていますか? メノ女(メノポーズ女性)世代が懸念するのは、暑さ寒さに関わらず額や上半身にどっと汗をかくホットフラッシュだと思いますが、まずは汗の質に着目。あなたの汗はサラサラですか、それともベタベタ? (私はベタベター!)気持ちよく汗をかいていくためのエクササイズと共にお伝えします。
まず、汗のしくみからご説明。私たちの身体にある末梢神経が「暑い」と感じると、その情報は脳の視床下部という部位へ送られます。そこで体温を下げるために「汗をかけ」という指令が出て、視床下部から派生している自律神経である交感神経を介し、身体全体に分布している汗の通り道「汗腺(かんせん)」に働きかけます。
汗腺には、皮脂などを多く出すアポクリン腺と、水分を多くふくむエクリン腺があります。このエクリン腺を通ってくる汗の水分はどこから来るかといえば、元は血液の血漿(けっしょう)と呼ばれるもの。交感神経から指令を受けた汗腺は、血液を皮膚上へと運ぶのですが、その過程で成分中にあるナトリウムイオン(塩分)などのミネラルやアンモニアを再吸収し、残った水分を放出します。
このように現れた汗はサラサラしており、身体の熱を奪ってスウッと気化して、体温を下げることができるのです。身体を動かした時に、こんなサッパリとした汗をかけると気持ちのいいものですよね。
ちなみに、絶えず皮膚や呼気、目の粘膜などから蒸発している目に見えない水分を「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」と呼ぶそう。私たちはあまり意識していませんが、1日平均900mlあまりを
体外へ放出しているといわれています。およそ牛乳パック1本分と考えるとけっこうな量なので、汗をかいていないと思っても水分補給はこまめに行ってくださいね。
一方、ベタベタしてニオイのきつい汗もあります。この汗も視床下部が「汗をかけ」と指令を出すところまではサラサラの汗と同じ。しかし自律神経のうち、発汗を促す交感神経が過剰に優位になっていると、本来少量ずつ放出するはずの汗が大量に出てきてしまうそう(※1)。閉経前後はホルモンバランスが乱れて自律神経のコントロールも乱れがちになり、突然滝のような汗が流れ出ることもあり、これがホットフラッシュの汗と呼ばれるものです(※2)。
汗の量が多くなると汗の質も変わってしまいます。本来、ナトリウムイオン(塩分)などのミネラルを再吸収するはずの汗腺では、汗の量が多くなると処理が追い付かなくなり、塩分濃度の高い水分がそのまま皮膚上に表れます(※3)。
その汗はベタベタしていて気化しにくく、加えてミネラルをエサに常在菌が増殖しやすいため、イヤな匂いとなりやすいのです。汗の量は多くなくとも、汗腺の機能が衰えてしまうとこれと同様のことが起こります。
そして一点、ご注意を。ベタベタした汗をかくと、体内のナトリウムイオン(塩分)などのミネラルが失われるため、脱水症状や熱中症を引き起こしやすくなるそう。特に意識的に水分・ミネラル補給をおこなってくださいね(※1)。
さて、滝のようなホットフラッシュの汗とベタベタしている汗の根本には、たびたびメノトレ企画に登場する「自律神経の乱れ」と、「汗腺機能の衰え」があることが分かってきました。せっかく汗をかくなら、サラサラとしたものがいいというみなさん、原因が分かれば対策あるのみ。
まず、自律神経の働きを安定させるエクササイズとしては前々回に紹介した「Let’sメノトレ⑪ ゆううつ気分をスッキリさせるストレッチ」が簡単でおすすめです。ベッドの上でのびのび始められてはいかがしょうか。
次に汗腺ですが、意外にも鍛えることが可能だそう。こまめに体温を上げる機会を作り、汗腺が良く働く練習の場を設けてあげるつもりで、股関節、太もも、ふくらはぎと大きな筋肉が集まっている下半身をダイナミックに動かしていきましょう。
「汗かこうエクササイズ初級編」
①どちらかの足を大きく前に出し、アキレス腱を伸ばすポーズをとる
②上体は起こしたまま、まっすぐ保ち、腰を落とし、呼吸を止めずにそのまま10~15秒キープ
③反対の足も同様に行う
※汗腺を鍛えるとはいえ、無理は禁物。炎天下を避け、室内などで行ってください。
一段飛ばして階段やエスカレーターを上る動作も、同じ筋肉を使うので効果的だそう。やってみたらけっこう、温まりました(息切れしました)。
次回は、汗腺をさらに鍛える応用編のエクササイズをご紹介します!
※参考文献
(※1)NIKKEI STYLE 五味クリニック 五味常明院長話
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO29875910W8A420C1W10600/
(※2)厚生労働省研究班
東京大学大学院医学系研究科老年病学教授 秋下雅弘先生監修
https://w-health.jp/climacterium_trouble/hot_flash/
(※3)ILSI Japan「水分補給の生理学メカニズムと熱中症の予防」鷹股 亮博士(奈良女子大学教授)
http://www.ilsijapan.org/ILSIJapan/BOOK/Newsletter/Water-2-NL_1006.pdf
監修:理学療法士 浜野 久美子