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中年をあまねく襲う魔女の一撃。私の原因は、もしや?「50歳のうぬぼれ鏡」Vol.17

腰のレントゲン写真を前に診察される完熟ライチさん

チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!


ライチ、緊急事態につき前回の予告から内容を変更してお届けします。
サムネイルのイラストで盛大にネタバレしておりますね!


このところなんとなく感じていたもんやりした鈍い腰の痛み。
まあ、中年の腰痛はよくあることです。特に気にせず、普通に外出したりしていたところ、どんどん腰の可動域が狭くなってくる。おかしいぞ。
まったく前かがみになれなくなり、顔を洗おうとして洗面所の前でひざ立ちになった時にやっと気づきました。これはいわゆるぎっくり腰、またの名を魔女の一撃ってやつだと。

椅子から立ち上がったり、落ちたものを拾うのも一苦労なので、家の中なのに山歩き用のウォーキングポールと、ゴミ拾い用の火ばさみを引っ張り出す始末。
晩ごはんも口元まで食器を持ち上げ、かき込むように食べました。
腰が動かないだけで人間はこんなにもポンコツになれる。


翌朝。自分がもう一人いたらようすを動画に撮りたいくらい、ベッドから起き上がれませんでした。もがいてのたうち回ってなんとか起床。
ウォーキングポールを持って近所の整形外科へ。
杖をついた人、歩行器の人、車椅子の人。いろんな患者さんがいる待合室。世の中には歩きにくい、歩けない人がこんなにもいる、ということを改めて実感します。
お医者さんは親しみやすい風貌のおじさんです。怖そうじゃなくてよかった。
簡単な問診のあと、計4枚のレントゲンを撮りました。

医師「50歳くらいになると、筋肉が弱くなってみんな腰が痛くなっちゃうんだよねー。何か無理な運動しませんでした?重いものを持ち上げるとか」
ライチ「3日くらい前から徐々に腰が痛くなってきたので、キタ!っていう瞬間がないんですよね。しいていうなら、2日前に少し高めのヒールでそこそこ長距離歩きました。それが原因ですかね?」

先生は「長距離…歩いた…」と言いながらカルテに記入しています。「それですね」と言われないので、どうも違うような気がします。だとしたら、何が原因だろう?



「レントゲン見てみましょうか。まず、正面の写真。背骨が曲がっていたり、骨盤がゆがんだりはしていないです。きれいですね!」
初めて見る自分の骨盤。私の人生で、真ん中の丸い穴を赤子が通ることはなかったので、腰骨に負担がかからなかったのかもしれません。

「次に、横向きの写真。今、腰が痛いんでピーンとまっすぐになってますけど、本来は少しS字に曲がっています。腰の骨は間に椎間板が挟まってます。所見に異常はないですね。横から出ている突起にも異常はありません」
激痛で恐れられる椎間板ヘルニアの可能性が消えてほっとしました。

「最後に、背中から撮った写真。腰椎と腰椎の間は10mmあれば正常とされてます。どこも10mm以上あるから大丈夫だね。腰椎圧迫の心配もないです」
私の母は晩年、腰椎圧迫骨折で入院しました。腰が痛いのを我慢して、コルセット代わりなのか、ズボンの背中に小型のまな板を入れていたことがわかり、なんともいえない気持ちになったのを覚えています。
ともかく、私の腰椎はまだまだいけるっぽいです。



「骨、神経は大丈夫なので、やはり筋肉の損傷と思われます。思われるっていうのは、筋肉はレントゲンに映らないからね。ベルトとロキソニンの湿布出しときます。2週間経っても痛かったらまた来てね。まあ1週間は痛いと思いますよ」
看護師さんが手慣れたようすで腰部固定ベルトを装着してくれました。

私は診察のあいだずっと、もやもやと考えていたことを口に出しました。
「あの、私カーブス行ってるんです。もしかしたら、スクワットの運動のあとに腰の同じ場所がちょっと痛かったかも」
すると先生は少し眉を曇らせて、
「あー…筋トレはね、気をつけないと危ないんだよね…」
と、聞き捨てならないことをつぶやくではないですか。
あなたはやめたほうがいいかもね。その代わり、腰痛予防のストレッチの紙あげるから、やってみて。でも3週間はストレッチもやっちゃだめだからね」



筋肉は天然のコルセットといわれており、カーブスの壁にもそんな豆知識が張ってあります。鍛えた筋肉が腰やひざの関節を守ってくれるというわけです。
ところが、私の場合もともと筋肉が貧弱で、鍛えはじめたとはいえ、まだそこまで筋肉量が増えていません。なのに、過大な負荷をかけてしまった。
ヨガのキャリアが長い完熟マスカットさんによると、無理な動きをしたり負荷をかけ過ぎたりして怪我をするのは、トレーニング初心者あるあるなんだそう。

カーブスのスクワットのマシンは、両肩に重いバーを乗せて、しゃがんでは立ち上がるもので、私は「お猿のかごやだホイサッサ運動」と呼んでいます。
このところ、カーブスのマシンに慣れてきた私は、運動のピッチを上げて回数をこなすことをモチベーションにしていました。
周りの会員さんたちがマイペースで地道に運動しているのを横目で見ながら、「チンタラしてやがるぜ」とまでは思わないまでも、「私はもっと速くやれる」と謎に肩ひじ張っていたのは事実です。

お猿のかごや運動のあと、毎回腰に鈍い痛みを感じていましたが、これは「きたわっている(←カーブスの若いトレーナーさんの口癖です)」証拠だと信じてました。
筋トレは筋肉に負荷をかけて細かな損傷を起こしては修復する、その繰り返しで筋肉量を増していくものです。
ところが、私の負荷のかけかたは、修復が追いつかないほど重かったということ。鈍い痛みはぎっくりのサインだったのに、無視したのが愚かでした。



それにしても、お医者さんの「やめたほうがいいかもね」の一言。
これは、一時的に休むという意味か。
これからずっとダメということか。
スクワット運動だけやめなさいということか。
あとからぞくぞく疑問がわいてきます。もっとちゃんと聞けばよかったな。

エクササイズには他にもいろいろ選択肢があります。
でも、何も考えず簡単な筋トレをするだけで、体調が良く、機嫌も良くいられる快適さを一度知ってしまうと、別の方法をまた探すのも気が重い。
とりあえず、2週間無断で休むとカーブスから電話がくるシステムになっています。その時に、どうしたらいいか聞いてみよう。
きっと、私のようなケースのためのマニュアルがあるはずです。

チーム完熟・ライチ(ライター)

「チーム完熟」のクールダウン担当、通称・師匠。1971年生まれ。雑誌編集を経て1997年からコピーライター。既婚・子なし・別居中。2018年から認知症の実母の保護者となり、2020年に看取る。コロナ禍でのもっかのマイブームはプロ将棋観戦。
執筆note 「完熟5(かんじゅくふぁいぶ)」

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