チーム完熟 の【完熟お見舞い、申し上げます】
既婚、未婚、子あり、子なし、シングルマザーとバラエティに富んだ編成のコピーライター集団「チーム完熟」。酸いも甘いもかみ分けてきた40代~50代の4人が人生の後半にさしかかり、訪れた心身の変化に向き合う奮闘記【完熟お見舞い、申し上げます】。同世代の読者が抱えるモヤモヤした気持ちを少しでも明るく照らせますように!
春休みまっただなか!
全国の小学生をもつ親御さん、おつかれさまです、とひとくくりにさせていただきます、マンゴーです。
突然ですが、お仕事、はかどります?
私は在宅ワークが主なのですが、今も子どもたちが隣の部屋でぎゃーぎゃーわーわー騒いでいて落ち着かないので、温かい紅茶にスイートポテト、相棒のブラウンとティータイムをかましたいところです。彼らに向かって失礼こかせていただきたい。
さてさて、いまは季節の変わり目だからでしょうか。
マンゴーは公私ともに……主に我が子たちの身体面にいろいろと不具合が生じ、それがきっかけとなって私の健康にまたもや穴、そしてちょっとした摂理を発見しました。
今日はその話に、紅茶でも飲みながらお付き合いいただけますか。
先月、息子が学校の遊具から落ちて肩を骨折しました。
幸いなことに、頭や首を打っておらず肩に固定のための串を刺す手術も成功。
入院も計3日で済み、「痛いよぉ……」という呻き声にも(私が)慣れ、家での看護もなんとか板についてきたところでした。
「ママ、いたぁい……」
あー、はいはい骨折だもんね、痛いよねと思って声の主を見ると、今度は娘のほう。
「口の中が痛いの」
もう~お兄ちゃんが骨折したから、大げさにいってかまってほしいのね~。
どれどれ、見せてごらん?
……ほお?
娘の舌をあげてもらうと、下あごにプクッと膨れた水疱のようなものがあります。
口内炎とも違いそうな……?
検索すると「ガマ腫」※1 なる画像と酷似していることが分かりました。
「自然消滅することは少なく」、「手術が必要」、「再発も」などと不穏な言葉が並んでいる。
マンゴーは患者のスペシャリストとして勘が働きました。これは、即・診断していただく方がいいのでは。善は急げ。治療も急げ。
時刻は20:30。
手あたり次第に歯科を検索、自転車で行ける距離の歯科を発見、確認、出発進行!
ひんやりとした夜道をこぎすすめながら、私はふと思ったのです。
突発的に怪我や病気が降りかかるけど、毎度なんだかんだで活路があるな、と。
息子の骨折は肩だけで済み、搬送先と外来先は徒歩でいける総合病院ときたもんだ。
先人の言葉に、「病院と職場と学校と、恋人宅は近い方がいい」というものがありますが(ウソです、今つくりました)、これこそ、不幸中の幸いでは。
今日も夜だが歯科医院は開いている。
もしかして、ラッキーファミリー?
途中何度か道を間違えましたが、I歯科に到着。
その治療室は完全個室で、医師は物腰のやわらかい紳士です(たぶん歯科助手の女性は、同じ雰囲気がありましたので奥さまだと推測)。
夜遅いながらも丁寧に診察していただき、「唾液がたまって膨れてしまったもの」(ネットにあったガマ腫のとおり)ということで塗り薬をいただきました。
「様子を見て、治らなかったら大学病院に紹介状を書きますね」
と手術を示唆するセリフにはピリリと気が引き締まりましたが、なんとかなることでしょう!だってラッキーファミリーだもの。
「それでは、次はお母さんですね」
はい、わたくしマンゴー、息子が骨折した2週間前くらいから「なんっか、歯が痛いな~」と思っていた。もっといえば1年くらい前からたまに痛かった。まあ、また気のせいで「異常なし」なんでしょうが、ここまで来たついでに私も診てもらおうというわけです。
「はい、こちらがお母さんの歯のお写真です」
「ママ、これ……!!」と娘はモニターを指さし、驚いています。
「虫歯ですね」
最初はチョコレートがついているのかと思いましたが、そこにはお手本にしたいくらいの、絵に描いたような、れっきとした虫歯が4本。
「いや、あの私、43年間虫歯が無かったんですけど……本当ですか?」
「はい。背もたれが倒れますよ。削りますね。けっこう奥まで深いので痛かったらおっしゃってください(粛々)」
「いはいです(痛いです)」
「痛いですよね……」
「いはいです(痛いです)」
キュイイインという歯を削る音を聞き、娘が私の足元に丸くなっておびえています。
「だいひょうぶ、ままつおいから。おしおし
(大丈夫、ママ強いから。よしよし)」
なぜか私が励ます側に。
「はい、終わりました。おそらく、神経には到達していないので、これで様子を見ましょう。他の部分は1つずつ直していきましょうね」。
I医院を後にし、夜道を戻りながら思いました。
今回の出来事、むしろ私の治療がメインじゃね?
娘がなかなか歯医者へ行こうとしない私を連れていったのかもしれません。
2週間後、娘の水疱は無事元通りになり、子どもたちは私を反面教師にして、積極的に歯ブラシをするよう意識が変わりました。
なんというか、災い転じて福となす、塞翁が馬、そして
幸運は、不運の姿でやってくる※2 を地でいった出来事といえるのではないでしょうか。
たぶん、不調に悩まされる前の私だったら
「そうはいっても、不運は不運だ!」と啖呵を切ったことでしょうが、今ならわかる。
不調は健康のありがたみと、医療の知識を濃くしてくれたし、子どもたちが隣の部屋でギャーギャーうっるさいのも、元気であればこそと(ちょっと無理やりだけど)思えるようになりました。
なんとなく、物の見方が拓けてきた43歳の春のマンゴー、熟れてきました。
……あらあら、もう一杯、紅茶をお飲みになります?
ほんとみなさん、子どもや親のお世話に振り回されると思いますけど、くれぐれも、ご自分のケアを、忘れずにね!
※1参考 舌下型ガマ腫手術後の顎下型ガマ腫
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stomatopharyngology/29/1/29_139/_pdf
※2 類義語がたくさんあるようで以下参考
・Forbes 田坂広志
「幸運は、不運の姿をしてやってくる」
https://forbesjapan.com/articles/detail/43932
・幸運の女神は、不幸の顔してやってくる
・幸運は不運のあとにやってくる
・ほとんどの問題は、不運の姿を借りた幸運である。
幸運さんは、コスプレしてるのね。